著者 : 森下征二
謎の東丹国使謎の東丹国使
日本国へ契丹人が攻め寄せてくる! 東丹国使船に乗って来た渤海国の妃の茉莉花が、契丹来寇の緊急事態を告げて来た。 醍醐天皇の朝廷は右大臣忠平が専横を振るい、相次ぐ疫病や道真の怨霊に苦しんでいた。 茉莉花を助ける将門と純友。 日本は果たして、契丹の侵入から逃れられるだろうか? 窓から見下ろす城内の街路で、勝ち誇った契丹兵が暴虐の限りを尽くしていた。血に飢えた兵士が若い女を捕まえ、彼女が抱いていた赤ん坊を路上へ激しく叩きつけた。赤子のけたたましい泣き声に女の悲痛な叫び声が重なる……。茉莉花の瞼にあの時の光景がまざまざと甦ってきた。私は日本国の施政者へ契丹来寇の情報を伝えなければならない。 渤海国の悲劇はこの国でも、他人ごとではないのだ。 謎の東丹国使 断腕太后 千角鹿伝説
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