著者 : 森美樹
神社巡り、御朱印集めが趣味の高校生カップル、律と祈里。律には長らく思いを寄せられている香楓という幼馴染がいた。香楓はある日、二人のデート現場に先回りして現れるが…(「デイドリーム・デイ」)。駆け出しのエッセイスト・來女木誠は、編集者との打ち合わせの前に「縁切榎」に立ち寄る。そこには、入院中の父・ひろみの書いた絵馬が掛かっていた。誰もが息をのむような美貌を誇る父の、晩年の願いとは…(「チャーミング・マン」)。パワースポットを舞台に、一筋縄ではいかない男女や家族の関係を鮮烈に描き出す要注目作。
母のような女にだけは、なりたくなかった。「理想の妻」としての人生を全うした母。正反対の生き方を選んだ娘。幸せを手にしたのは、はたしてー。『主婦病』で絶大な支持を得た著者が描く、「家族」の呪縛を解き放つ感動作。
女は皆、平和を装っているだけ。ライターの天音は、妻としても職業人としても自己不全感を抱いていた。ある日、友人の紹介で俳優の朔也と出会う。人とは違う肉体を生かして役者になった朔也を取材するうち、彼の周りの女性たちが変貌した瞬間を知る。いい子の呪いに苦しむ鈴美、男性経験のない冬美恵、朔也の妻・理都子、そして天音自身もー。未知の私が現れる5編。
「たとえ専業主婦でも、女はいざという時のために最低百万円は隠し持っているべきでしょう」。新聞の悩み相談で目にした回答をきっかけに、美津子はある仕事を始めた。八時三十分から三時まで、昼休憩を除いて六時間勤務。完全在宅勤務でノルマなし。欠かせないのは、熟したトマトー。R-18文学賞読者賞を受賞した「まばたきがスイッチ」をはじめ、生きる孤独と光を描ききる六編を収録!
その男は、女たちの心も身体もハダカにするー病のため6歳の頃の体型のまま大人になった俳優の朔也。彼は「誰にも見せない」という約束で、女性のヌードを撮影している。20代のフリーター、40代の介護士、そして30代の対照的な主婦二人…年齢も容姿もバラバラの女たちは、なぜ彼にすべてを見せたのか?心を閉ざした女たちが再び人生を取り戻す姿を鮮やかに描く、日常と格闘するすべての人たちへの応援歌。