著者 : 樋口裕一
苦悩の始まり苦悩の始まり
舞台はアフリカの架空の地方。そこには、選ばれた老人が少女にキスするという儀式があった。ところが、あろうことか、キスを受けた少女バノス・マヤが老人オスカル・アナに恋してしまう。すると、神々はその不埒なキスに怒り、自然を通して怒りを表明しはじめる。天変地異が次々と起こり、奇怪な出来事が続く。天に穴があいて、空が落ちそうになってくる。村人は、二人を結婚させて、神々の怒りを鎮めようとするが、オスカル・アナは理屈をつけて応じない。ますます天は荒れ狂い、地は揺れ動く。さて、この荒唐無稽なドタバタ騒ぎの顛末は…。人間の愚かさへの怒り、絶望、祈りを特異な文体で爆発させた、現代ブラックアフリカ小説の挑戦的文学形式。
妖怪(ゴ-スト)の森の狩人妖怪(ゴ-スト)の森の狩人
空腹という名の妖怪がいる、結婚を迫る妖怪がいる。ヨルバの民話から飛び出した魔訶不思議な妖怪たち。森の妖怪と狩人の、奇怪、奇想、奇天烈な変身合戦。アフリカ・ナイジェリアの奇才チュツオーラの幻の処女作。
一つ半の生命一つ半の生命
本書は、「絶望の不条理」を実践したるハチャメチャ小説にして、エロあり、グロあり、ゾンビあり、少々の辻褄の合わぬは何のその、世にも快奇なる人物が入り乱れ、近代小説の約束ごとをすべて打ち壊しては、ところせましと動き回る。舞台はカタマラナジーなるアフリカの新興国。あらんかぎりの暴虐をつくす独裁者とがっぷりと4つに組むは、殺されても殺されても甦って歯向かう政敵。そこに、絶世の美女が絡み、あらゆる魑魅魍魎が跋扈して、この世を破滅に導きまする。さてさて、いかにしてこの世が終わり、その後に何が残るかは、最後まで読んでのお楽しみ。さあさ、はじまり、はじまり。神話、黙示録、近未来SF小説などなど、あらゆる小説ジャンルをごたまぜにしたる世にも珍奇なる書のはじまり、はじまり。
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