著者 : 櫻木みわ
少女たちはソウルで夢を見た。 K-POPデビューを夢見る陽奈と、大学進学する幼なじみに思いを寄せるソユン。日韓のふたりの少女は、それぞれの理由から芸能事務所の練習生としてソウルで暮らし始めた。ブラジル、タイなど各国出身の練習生とのつながりは深まる一方、韓国芸能界の荒波に心と体をすり減らしていくーー K-POP、韓国ドラマ、ヘイトスピーチ、領土問題、南北朝鮮、戦争、植民地。全てを描き抜いた傑作ーースケザネ氏(書評家) 現代女性の抱える悲哀を題材とした中編『コークスが燃えている』で熱狂的な支持を得た著者による、初の長編小説! 【編集担当からのおすすめ情報】 日韓ふたりの少女が成長するさまを追った青春小説にして、日韓の歴史をモチーフにした社会派小説でもありながら、やはりSFや純文学、エンタメといった枠に収まりきらない櫻木みわ氏の小説です。著者は、本作執筆にあたって、K-POP関係者に多数インタビューし、さらには韓国各地での現地取材も行いました。大量の文献収集も含め、日韓関係の知識を蓄えながらも、そこに依拠せず独自の物語を紡ぎました。著者の新たな代表作として、強くおすすめします! 1 ダイナマイト 2 むくいぬ 3 お膳の脚が折れるほど 4 ソウルに行きさえすればいい 5 誕生日 6 人生は美しい。だろう 7 カカカ 8 同胞 i 9 アイドルと雪濃湯 10 同胞 ii 11 咲くやこの花
スタイリスト見習いとして働く友梨奈と、牛肉加工工場でパートをしている主婦の未知。それぞれに何かから「抑圧」されている。現代社会で生きていく女性のやるせなさを見事な筆致で描きつつ、他者と他者がつながれることを希求する、期待の新鋭の飛躍作。
筑豊の炭鉱町出身の私(ひの子)は東京に住み、もうすぐ40歳になる。非正規で新聞社の校閲の仕事をしているが、3年限定の仕事なので、いずれ新たな職を探さねばならない。両親は他界していて、年下の恋人だった春生とは1年以上前に別れていた。 新型コロナウイルスが広がるなか、前に弟との結婚騒動で出会った女性・沙穂から連絡があり、東京で食事をすることになる。彼女は看護師で、独りで子育てをしていた。ひの子は沙穂の影響で、逡巡しながらも春生にメールを送ってしまう。すると思いがけず返信があり、再び付き合うことになって……。 出会いと別れ、他者とのつながり。 現代女性が対峙する実相を、かつて炭鉱で労働を担った女性たちに心を寄せつつ描く、鮮烈な中編小説。 【著者略歴】 櫻木みわ (さくらき・みわ) 1978年福岡県生まれ。タイ、東ティモール、フランス滞在などを経て、2018年に作品集『うつくしい繭』で単行本デビュー。
空港も鉄道もない、ラオスの奥地の辺鄙な村。そこに佇む瀟洒なホテルのような施設に、世界中から選ばれた者たちが訪れる。コクーン・ルームで記憶の奥深くにアクセスし、その人に最も必要なものを見せてくれる<トリートメント>という施術を受けるために。心に深く傷を負った私は、レモネードという名前を与えられ、客室係の仕事をはじめるが……。表題作「うつくしい繭」をはじめ、愉悦に満ちた文章が、あなたを魂の旅に誘う。 東ティモール、死者の<声>を聞く少女アニータ。ラオスの山奥、親友と婚約者に裏切られたレモネード。インド、兄のためにガンの特効薬を探しに来た中瀬。日本、南西諸島出身のみほ子の実家で不思議なガラス玉を見つけたミサキ。四人の女性が、自らの五感を全開にするとき、世界はつながる。 ◆メディア、評論家から絶賛の嵐!◆ 日経新聞「目利きが選ぶ3冊」北上次郎氏(2019年1月7日) 女性の魂の遍歴を美しく https://r.nikkei.com/article/DGKKZO40102200X10C19A1BE0P00?s=3 朝日新聞「好書好日」(2019年1月28日) 「声高には語られないけれど、美しく生きてたり、大変な思いをして生きてたりする人の物語を書いていきたい」 https://book.asahi.com/article/12089861 毎日新聞 文芸時評「私のおすすめ」倉本さおり氏(2019年1月30日) 「言葉の力のみずみずしさが官能的に光る」 https://mainichi.jp/articles/20190130/dde/014/070/004000c NEWSポストセブン「BOOK STAND」碇本学氏(2019年1月30日) 「多層な現実、過去、未来、幻想、自然、時間、空間、次元のイメージを読者に喚起させ想像させることができる小説家だと思う」 https://www.news-postseven.com/archives/20190118_850492.html 本の雑誌「新刊めったくたガイド」大森望氏(2019年2月号) ★★★★「プリースト《夢幻諸島》連作を思わせるエキゾチシズムと身体性の融合が特徴」 週刊金曜日「きんようぶんか」長瀬海氏(2019年3月15日号) 「アジアの幻想的な風景が、新人小説家とは思えない巧みな筆致で、そこに描かれている」 小説推理「今月のベスト・ブック」森下一仁氏 「かすかに甘い炭酸水をごくごくと飲み干すような快感があります」