著者 : 武内涼
最強の智将・毛利元就VS.山陽道一の忠臣・弘中隆兼。“戦国三大奇襲”に数えられる「厳島の戦い」。兵力わずか四千の毛利元就軍が二万八千の陶晴賢軍を打ち破った名勝負の陰には、壮絶な人間ドラマがあった。謀略で勝利した元就と、義を貫いて敗れた隆兼…対照的な二人の武将を通して人間の矜持を問う!
延暦寺につかえる者が住まう八瀬の山里には「八瀬童子」と呼ばれる忍びたちがひっそりと暮らしていた。ある日、次期天台座主の名前が記された秘伝の巻物が奪われ、巻物の奪還を命じられた少女・すがるは、陰謀渦巻く京の都へと向かう。疫病と飢饉に困窮する民をよそに「花の御所」で繰り広げられる権力争い。そこへ山名宗全、細川勝元ら守護大名たちの対立が絡み、巻物の探索は壮絶な忍者同士の死闘へと発展していくー。野望の陰で命を散らす忍者たちの悲哀を描く、一気読み必至の歴史エンターテインメント。
平清盛が栄華を極める平安末期の京に異変が起きていた。飢餓に喘ぐ民を顧みない公家の中に、血を吸う鬼“殺生鬼”が潜み始めたのだ。古の約定を知る者たちは秘かに密殺集団“影御先”を結成し鬼を狩るが、殱滅には程遠かった。一方、打倒平家を胸に秘める源義経は、最愛の女性の仇を討つため影御先に加わる。だが鬼は人心を自在に操り新たな罠を仕掛けてきた!
山形十九万石を治める最上義光の愛娘で東国一の美少女と称される駒姫は、弱冠十五歳にして関白秀次のもとへ嫁ぐこととなった。が、秀次は太閤秀吉に謀反を疑われて自死。遺された妻子には非情極まる「三十九人全員斬殺」が宣告された。危機迫る中でも己を律し義を失わない駒姫と、幼き姫に寄り添う侍女おこちゃ。最上の男衆は狂気の天下人から愛する者を奪還できるか。手に汗握る歴史小説!
むごたらしい屍から、ポトリと葉が落ちたー江戸中期。西国で豪商一家が皆殺しの上、財を奪われる事件が連続、ついに京でも凶行が演じられた。魔草と闘う都の妖草師・庭田重奈雄は犯行が妖草絡みと察知、賊を追いつめるが、それはさらなる巨大事件の序曲に過ぎなかった。舞台は江戸へ。そして、将軍弟から薩摩藩まで巻き込む大陰謀が姿を現す!人気シリーズ、ここに完結。
攫われた我が子を探す僧とともに、土佐へと向かう獅子若たち「はぐれ馬借」一行。だが、背後からはかつての仇に率いられた凶賊が迫り、さらには義経より与えられた諸国往来自由の書を奪わんとする代官が立ちふさがる。一方、叡山領東坂本では、商人による米価吊り上げの奸計に地元馬借衆がついに牙を剥きー時代のうねりが力なき庶民を争いへと駆り立ててゆく。室町伝奇小説、緊迫の第2巻!
唐の時代の中国。すべての悪を支配する妖魔の王・蚩尤が目覚めようとしていた。その力を葬り去るには、封印された二つの蚩尤の眼を、東の果ての霊峰・富士の火口に投げ込み滅殺するしかないという。長安の饅頭売りの娘・海燕は、その役目を担うべき運命の少女だった。突然の指名に戸惑う海燕。しかし、心優しき少女は運命を受け入れ、唐に留学中の学生・橘逸勢、僧・空海とともに、遙か日本を目指し旅立つのだった。妖怪の襲撃、心温まる出会い、新たな仲間、悲しい別れ、少女と青年たちは東への旅路を急ぐー。唐の少女と日本の青年の過酷な旅の結末は!?
奸臣を周囲に侍らせ女色に耽っていた関東管領・上杉憲政は、破竹の勢いの北条氏康に最愛の息子を討たれ、城を追われる。すべてを失った男が、難民となった自らの領民たちと共に見た景色とはー。使命に目覚める者、伴侶を見つけた者、負けることでしか望みを叶えられなかった者。敗けてはじめて、勝利が見える。負の教訓として歴史に名を残す敗戦の将たちが、どん底から立ち上がる様を見よ。
その若者、並外れた体躯であった。名は獅子若。比叡山領坂本で馬による陸運業・馬借をしている。世は混迷の室町期、貧者は自力で身を守らねばならぬ。己の腕力のみを信じて生きてきたが、権力者の逆鱗に触れる出来事により叡山領追放の身に。愛馬を連れ、失意のうちに彷徨うなか現れたのは「はぐれ馬借衆」を率いる美少女・佐保だった。彼女の誘いに行動を共にするが、一団を追う刺客の影がー。
(この寺はどこか怪しい…)伊勢を訪ねた絵師・曾我蕭白は、熱烈な信者を集める寺を知った。草模様の異様な本尊、上人の周りで相次いだ怪死。蕭白は京の妖草師・庭田重奈雄に至急の文を…(表題作)。江戸中期、この世に災いをなす異界の魔草に立ち向かう若き妖草師に続々と襲いかかる凶敵草木。一途に彼を思う椿の恋敵か、美貌の女剣士も参戦。人気沸騰の時代伝奇、書下し連作集。
永禄四(一五六一)年九月。武田信玄と、上杉謙信は川中島で対峙していた。時を同じくして、謙信の首を獲れという密命を受け、故郷をあとにした少女がいた。名は、野風。野花に似た凛とした美しさをもつその少女は、暗殺者の隠れ里から選ばれた最強の刺客であった。一方、野風を阻止すべく、敵方からは“多聞衆”という、屈指の猛者で組織された用心棒集団が野に放たれる。死んでゆく仲間、裏切り、蹂躙される故郷…湧き上がる怒りと哀しみが、孤独な野風を、恐るべき速さで敵を斬り裂く、赤き鬼神に変えてゆくー。
天正十二年。秀吉と戦った、大名でも、侍でも、ない男たちがいたー根来の若き忍び・林空は、総帥・根来隠形鬼に呼び出され「秀吉を討て」と命じられる。同じく命を受けた根来の刺客たちが、秀吉を襲撃するが、甲賀忍者・山中長俊らの鉄壁の守りに阻まれていた。そんな中、仲間の叡海や俊念とともに出立した林空は、家康との合戦のため進軍中の秀吉を銃撃しようとするが…。時代小説の若き旗頭が放つ、手に汗握る忍者活劇。
文禄四年の盛夏。最上義光の娘・駒姫は、関白秀次の側室となるため聚楽第に入った。しかしその直後、秀次は謀反の罪で切腹。囚われの身となった駒姫と侍女・おこちゃ、残された秀次の妻子には想像を絶する運命が待ち受けていた。最愛の者を奪われた最上家の男たちは、石田三成、伊達政宗、徳川家康らの野望渦巻く都から姫を取り戻すことができるのかー。人間の真の強さを問う慟哭の歴史ドラマ。
信長が安土城に安置していた「盆山」の真の役割を知る織田信雄。六十余度の戦いで不敗を誇る肥後の智将・甲斐宗運。関ヶ原合戦直前、伏見城で西軍に寡兵で臨んだ徳川の猛将・鳥居元忠。家康の懐刀として暗躍した、武人にして豪商の茶屋四郎次郎。今川、武田・上杉の圧力に智恵と胆力で対抗する北条氏康。賎ヶ岳七本槍の一人として大名となった片桐且元…。大注目の作家陣が知られざる戦国史を描く豪華アンソロジー!
妖草師とは、この世に現れた異界の凶草を刈る者である。江戸中期の宝暦八年、妖草師庭田重奈雄が住まう京都で、若手公卿の間に幕府を倒さんとする不穏な企てがあった。他方、見目麗しい女たちが次々神隠しに遭うという奇怪な事件が発生。騒然とする都で、重奈雄がまみえた美しき青年公家の恐るべき秘密とは?怪異小説の雄・上田秋成らも登場、一大スケールで描く書下し伝奇アクション。
忍者の学舎が開校して迎える初めての夏。一平は、あやめら仲間たちとともに過酷な修行を積み、めざましい成長を遂げていた。一方、学舎では、妙義山中に隠す資金二千両を江戸へ運ぶ計画が持ち上がる。商家一行に化けての江戸行きー特に秀でた子供六人も旅に同行することになるのだが…。宿敵、風魔一党との凄絶な闘いが待ち受けていた!大好評シリーズ第二弾。
心の闇を苗床に、この世に芽吹く呪い草。常世のそれを刈り取る者を妖草師と称する。江戸中期、錦秋の京に吸血モミジが出現した!吸われた男の名は与謝蕪村。さらに伊藤若冲、平賀源内の前に現れた奇怪な草ども。それが、はぐれ公家にして妖草師の庭田重奈雄と異才たちの出会いであった。恐怖、死闘、ときに人情…時代小説の新たな地平を切り拓いた逸材の、伝奇作品集!
将軍・綱吉の治世に、公儀隠密の劣化を憂う老中らが立てた密かな計画。それは、各地から素質ある子を集め、優れた忍者を育てるというものだった。貧しい山村の出の一平も、妙義山中の養成所へとやってきた一人だ。仲間たちとの競い合いや友情ー学び舎での日々が、内気だった一平を逞しく成長させてゆく。だが、背後では風魔忍者衆が恐るべき陰謀を企てていた!文庫書下ろし。最注目の気鋭が放つ胸おどる冒険活劇!
江戸中期、宝暦の京と江戸に怪異が生じた。数珠屋の隠居が夜ごと憑かれたように東山に向かい、白花の下で自害。紀州藩江戸屋敷では、不思議な蓮が咲くたび人が自死した。はぐれ公家の庭田重奈雄は、この世に災厄をもたらす異界の妖草を刈る妖草師である。隠居も元紀州藩士であることに気づいた重奈雄は、紀州徳川家への恐るべき怨念の存在を知ることにー。新鋭が放つ時代伝奇書下し!