著者 : 殿谷みな子
火を噴く山が憶えていること火を噴く山が憶えていること
3歳の頃、伊豆大島の雑貨商に養女として連れてこられたフキさん。ススキの茂る長い道を男と歩いた最初の記憶。母の記憶はない。養母の厳しい仕打ちに耐えるフキさんをなぐさめるのは、火山島を囲む広々とした青い海と空だった。フキさんは8人の子を育てあげた。そして火山の大噴火。その大噴火に促されたように、一人の老婦人が訪れ、フキさんの出生の秘密を告げる…。わずかな手がかりをたよりに、四男の嫁の恵さんが、「本当の母」の失われた記憶を求めて秋田へと旅立つー。
揺れる心を見せないで揺れる心を見せないで
炎のように激しく燃える愛はなくなっていたが、お互いに仕事をもつ身の共感と、少々のことでは消えない愛情は、十分に育ててきたと信じている周一と真柄の夫婦。しかし周一に愛人が、真柄もまた仕事関係のカメラマンと逢瀬を重ねた。共働きの夫婦に忍び寄る揺れる心。危い夫婦の関係を描く書下し長編小説。
アローン・トゥギャザーアローン・トゥギャザー
自由であっても、いつも孤独なひとり。三田村彩子、32歳の独身OL、外資系会社の秘書。四年以上つきあっている恋人岡本直紀は34歳。結婚すると決めたわけではないが、彼にはもう一人、若い愛人エリがいる。彩子もまた、友人の家で出会った泰生と暮らし始めるが…。幸福を夢みながら、決して満たされることのない、男女の孤独感を描く書下し恋愛小説。
いつかあなたを見失ういつかあなたを見失う
麻子、24歳。フランス留学から帰って三年半。仕事は料理の本の翻訳。恋人は兄の友人で、妻子ある鷲見信一。いつかは別れなくては、と思っているが…。或る日、留学中の恋人でモロッコ人のハミッドが、麻子への想い断ちがたく、結婚してくれと成田空港から電話をかけてきた。二人の男性、恋愛と結婚の間で揺れ動く女ごころを描いた、著者初めての書下し恋愛小説。
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