著者 : 水野忠興
遠い悔恨 単眼児は見ていた遠い悔恨 単眼児は見ていた
著者は、ながく医療の第一線に立ってきました。生身の人間、こと弱者に対する優しいまなざし、ひとを狡猾・功利に追い込む社会に対する厳しい視線。・・・水野ワールドの奥深さです。今作品は、医学ミステリーであり、ホラー小説の要素もあり、また、『楡家の人びと』を想起させる純文学の風格あり。複合体にして多面体な作品世界です。今作品にご興味・関心をもたれたら、著者のこころの遍歴をたどる『ぼくの医学遍歴譚』『婚外子物語』のご併読をお勧めいたします。真摯にして破天荒な著者の軌跡がうかがえます。 困惑 探索 確執 陥穽 因果
婚外子物語婚外子物語
三河以来の由緒正しき伊予藩士を祖にもつ水野家。これが著者の出自です。しかし、明治以降、その血脈をたどると、闇の金融界に君臨する祖父、最高裁判事に就く異母兄弟、そして、働くことをやめ、家族を支えることを放棄したような著者の父が・・・。陰影の富む人物。豊かにうねる物語性。北杜夫の「楡家の人びと」、山口瞳の「血脈」の再来を想起させます。
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