著者 : 波多野鷹
麻里香は博習館中等部の三年だが、実は、病気のためにダブってる。かつての級友は高等部一年。今の同級生とは、なんとなくしっくりいっていない。去年の高等部文化祭で、彼女は写真部の神崎玲を一目見て惹かれたが、その時彼は「春には会えるな」と言った。その意味は?親友の春乃からは、彼は不良だから気をつけなきゃダメよと注意された。その彼に、四月のある日、偶然出会った…。
写真部の高橋ゆかりは、たえずファインダーを覗き続ける女の子、それも馬術部の伊東弘士の姿だけを追って…。すでにプリントだけで1500枚はある。父がプロ・カメラマンなので、写真部の中では特異な存在だ。弘士の妹・花菜子とは幼なじみで一番の友人であり、母どうしも仲がいい。しかし、ゆかりが馬術部に自由に出入りするようになっても、弘士とふたりでデートすることがなかった。
壮太郎と木綿子は山に囲まれた信州の町で育った幼なじみ、壮太郎が1歳年上だ。それぞれ中学を卒業すると、父親の転勤によって東京へ移り、博習館高等部へ進学した。2人は1年のブランクののち再会したのだが、壮太郎はすっかり変わってしまっていた。彼は代議員議長として有名で、現在の恋人は真希子。大人の関係だ。しかし、それを知っても彼に対する木綿子の気持ちは変わらなかった。
三絵子は博習館高等部の生物部員としての毎日にも慣れ、200匹のマウスの飼育係を自ら申し出て可愛がってきた。だが、マウスがそこにいる理由は…?しかし、冷厳なる現実を知っても、最早彼女はたじろがない。動物園の飼育係になるのが彼女の夢!一方、憧れの疾人は華道部の円と微妙な関係にあるし、さらに、強い意志力を持つ美化委員の奈津美の存在もクローズ・アップされてきた。生物部になじもうと努力する三絵子。しかし、どうしても部員たちとの間には何かが…。シリーズ後編。
エリート然とした端整な悠二、やや不良っぽくニヒルなかおるー博習館高等部総務部整副委員長のふたりは、女子の間で人気を二分している。この両美形には、大人びた物腰の杏子とボーイッシュな幸子がいつも補佐している。今、彼らの関心事は文化祭のイベント。自主性を重んじる校風とはいえ、学校の承認をとるまでには容易ではない。このイベントが、やがて学園の伝説になろうとは…?
瞳子は季絵といっしょに、夏休みの間、季絵の叔母の住むイギリスへ遊びに行くことになった。ふたりは高2、性格も容姿も対照的だった。瞳子はきりりとした顔立ちで背が高く、筋肉質で男の子っぽい。季絵は細身なのは同じだが、背は低く細面で可憐って感じ。ふたりは小学校4年以来の友達で、腐れ縁・ただれ縁というほどの仲だった。ヒースロー空港には、季絵の兄直季が迎えにきていた。
皐の友人として、家住湊の家でのパーティーに招待された蒼。ほかの級友の女の子たちは有名な作家である湊を前にして、はしゃいだりしているものの、皐に思いを寄せる蒼としては、湊と皐の関係が気になった仕方がない。湊の恋人である亮子にとっても、それは同じことだった。パーティーの後、皐を家まで送る帰り道、蒼の「好きだよ…キスしていいかな」という言葉に、皐は戸惑ってしまう。
兄の綜太郎の勧めで郁生は兄と一緒に、小学生のためのサマースクールに学生リーダーとして参加することになった。夏休みのその時期、郁生は暇だったし、リーダーになるとバイト料が出る。4日間拘束だが、涼しい高原のキャンプはなかなか魅力的だ。顔合わせ後のミーティングは気楽なムードだし、スタッフのメンバーもみな気さくだったが、特に子供好きでもない郁生には少々不安が残った。
あいびぃ屋敷には、相変わらず女3人、男1人、犬1匹が住んでいる。元ゾクのバイク少女・麗子、お嬢さま育ちの幼児型・路乃、艶っぱい美女、冴ー彼女たちに住みつかれてしまった家主の馨は影がうすい存在だ。その馨のところへ、ラブレターを握った少女・朋美が訪れたのだから、3人は興味津々。ところが驚いたのは朋美のほう。個性豊かな女性が次々と現れたのだから、無理もない…。
高校に入学したばかりの皐にとって、唯一の友は異性の蒼だった。元来人付き合いの苦手な皐だが、植物を愛する蒼とは入試以来ずっと付き合っている。級友から作家の家住湊のサインを頼まれた皐は、従姉の亮子に連れられて初めて湊の家を訪れた時、部屋いっぱいに大きな水槽が置かれている光景に驚いた。湊は亮子の恋人だったが、皐は湊と話していると、蒼にはない心のやすらぎを感じた。
麗子、冴、路乃、馨。一つ屋根に住む女3人と男1人の家の前に、赤ン坊が捨てられていた。慌てて貰い受けに来たのは浜田兄弟。これがなかなかのしたたか者だ。兄の方はかつて、妻があるのを隠して、冴とつき合っていた。そしてこともあろうに、こんどは麗子にプロポーズ。弟の方はというと、4人の弱み(学校に内緒で一緒に住んでいる)につけこみ、冴にヌード写真を撮らせろというのだ。