著者 : 海老根宏
英国ヴィクトリア朝文学を代表し、英文学史に大きな足跡を残した ジョージ・エリオットことマリアン・エヴァンズ(1819 - 1880)の 長編作品『ロモラ』Romola を新訳で・・・。 花の都フィレンツェ、結婚というくびき。 学者の娘ロモラは、目の見えない父の研究を手伝う日々。そこに現れた、 若く、美しく、才覚のある青年ティート。やがて恋に落ち、結婚する二人。 けれど次第に明らかになるティートの秘められた過去と本性……。 1492 年4 月9 日のロレンツォ・デ・メディチの死の当日から、 1498 年のサヴォナローラの火刑とその死までという、 イタリア・フィレンツェの激動の史実に取材した渾身の一作。 メディチ家の面々やマキャヴェッリなど、実在の人物も多数登場! 緻密に取材した歴史物語に織り込まれているのは、親子、夫婦、 宗教といったさまざまな「くびき」と、そのなかで生きる一人の女性の 姿である。 小説家ヘンリー・ジェイムズは『ロモラ』を、エリオットの「最高作」と 断じた。また一九世紀の思想家トマス・カーライルや詩人ロバート・ ブラウニングを始めとする多くのイギリスの文人たちも、 『ロモラ』刊行当初、これに極めて高い評価を与えている。
3人の牧師の人生に秘められた、それぞれの愛のかたちとその深さ。胸を打つ悲しみも、いつかきっと癒やされる…ジョージ・エリオットの記念すべき小説家デビュー作。
恋か、血の絆か。スペイン・アンダルシア地方。美しきフェダルマが知った自らの出生の秘密。従うべきは身を焦がす想いか、それとも…。若者の悲恋を描いた異色の劇詩。個人的次元における自己充足と共同体から課せられる任務や責任の実行との間の相克ないしは葛藤という主題に、詩の形式で挑戦した『スペインのジプシー』(1868)。超能力という斬新な題材を用いた「とばりの彼方」(1859)と、エリオットの喜劇性が凝縮された「ジェイコブ兄貴」(1864)という二つの短編小説に示される、“長編作家エリオット”の底力。