著者 : 清志まれ
おもいでがまっているおもいでがまっている
今は古びた平成初期の新興マンション。その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。孫はここで、ずっと母を待っている。この部屋に残された母の愛に囲まれて。しかし、男が語る思い出はすべて“嘘”だった。かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。男には、そうしなければならない、痛切な理由があったー。風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。水野良樹(いきものがかり)が筆名で描く、渾身の書き下ろし小説。
幸せのままで、死んでくれ幸せのままで、死んでくれ
国民的キャスターとして成功を収めた主人公と、売れないミュージシャン崩れの親友。時を経て、二人の人生が再び交錯するとき、主人公には死が迫っていた。「俺はもう、幸せなままで、死ぬよ」彼は、誰にも言えない、たった一つの秘密を親友に託そうとするー。「幸福」の真実に迫る、慟哭の初小説。
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