著者 : 清水裕貴
海は地下室に眠る海は地下室に眠る
ドレスを翻し踊る妖しい女ー稲毛の洋館で発見された絵画は、当地で流行った怪談を思い出させた。絵の調査が進まずにいたとき、学芸員のひかりは千葉の旧花街・蓮池にまつわるインタビュー資料を入手する。そこには、ひかりの祖母と“流転の王妃”嵯峨浩の、戦時下ながらも瑞々しい青春の記録があった。絵画の出所、祖母の記憶、“見てはいけない”絵の怪談。
花盛りの椅子花盛りの椅子
緑生い茂る山の中、ぽつんと佇む「森野古家具店」。そこには、過去の沁みこんだ被災家具たちが、物語をたずさえ集まってくるのだったー。傷ついた古家具には、無数の命が仕舞われている。職人見習いの「鴻池さん」が、家具に秘められた当時の記憶に触れる、感性ゆたかな連作短編。古家具を繕うたび、それぞれの「あの日」と接続する。
ここは夜の水のほとりここは夜の水のほとり
生に無頓着なのに、死と隣り合わせだったあの頃。あなたと優しい幽霊、古い一軒家、アトリエ、そして玉川上水のほとりの並木道…。あまりにも完璧な、けれどもどこか曖昧な環境での、歪でつかみどころのないストレスに塗れた記憶がよみがえる連作短篇集。
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