著者 : 牛次郎
人妻やヌードモデルとの逢瀬を重ね、その情事をクールに観察し、小説を書きつづける流行作家・三田村倶治。そんな三田村を溺れさせるほどの人妻・坂崎彩子が突然、殺害された。彩子の死に様は、扇情的で怪異な姿であった。しかも殺害場所は、三田村と彩子の密会場所、面影坂ホテル…。ホテル従業員の証言から警察にマークされた三田村は、自らの疑惑を晴らすべく、事件解明に乗り出す。だが、彩子に潜む戦慄の過去と血脈が、三田村を追いつめる。男と女の狭間に蠢く欲望を大胆に活写。著者会心のロマンミステリー、書下ろしで登場。
十七歳の目黒佐和子は、ラブホテルに連れ込まれ、ほとんど強姦のように処女を奪われた。相手はヤクザの三下だった。ところが、佐和子の父親も極道の親分で、トラブル続きの家に嫌気がさし、建築設計事務所に就職した。佐和子は、そこの社長に女開眼をされるが、自ずと備っている魔性的な言動で、逆に社長を翻弄する。乗りかえた男・鷲尾は、パチンコ店やラブホテルを経営する金持で、佐和子は事業欲に目覚める。ホテルのオーナーへの夢を持ち、佐和子は鷲尾に献身的な愛を捧げるが、彼にはもうひとつの顔があった…。
「地球上で俺という人間はたった1人。1回きりの人生なら、自由に“ぶっ太く”生きなきゃ、生まれてきた甲斐がない」をモットーに、新興宗教両妙宗の教祖に成り上がった八幡野現太は、教団を日本一にするため、日々布教活動に励んでいた。“妙孔観聞の秘法”と、己れの妙棒尊、巨根をもって、次々と美女を歓喜法悦の境地に導く。夜の女たちが、OL、若妻、貴婦人が、そして碧い瞳のブロンド美人が、現太の秘技の虜となる。両妙宗の信者は激増、現太の野望は達成されるかに見えたが…。仕事も女も“ぶっ太く”欲をかいて生きる男の痛快人生を描くサクセス官能ロマン。
総理大臣の椅子を目前にした北見は、恐怖に震えていた。戦友二人が立て続けに殺されたのだ。それも白昼、自衛隊から強奪された武器を使って…。彼の中で消えつつあった戦争末期の沖縄でのあの事件が、いま自らの死につながろうとしている。史実から抹殺された“大虐殺”の痛みを胸に、四十年の歳月を経て三兄弟の怒りが炸裂するアクション巨編。
暴力団市富士組組長・市村の女となった光枝は“姐さん”として生きるべく、秘所に蛇の刺青を彫った。それが“凶運の女”の誕生だった。縄張りを狙う新興の堂政一家との血で血を洗う斗い。やがて抗争は全面戦争へ突入した。ヒットマンに仕立てられた男と、掟を破った男と女への凄惨なリンチ…。暴力によってのみ繁殖し、また滅亡する組織とその興亡。女を犠牲にして悪を生きる男たちと、その男を愛してしまった女の凄まじい姿を、綿密な取材をもとに描く著者初のバイオレンス・ロマンの傑作!
リングネーム・力王山道浩ことリキは28歳。身長195センチ、体重135キロ。華麗でスピーディな技を駆使したデビュー戦で爆発的な人気を得て、一躍、花形レスラーになった。筋肉質の巨体、笑うと右頬にエクボができる甘いマスクが人気に拍車をかけている。が、彼にはもう一つの狂のつく推理マニアの顔があった。リングの内外で起きる奇怪な殺人事件を、同棲中の恋人・千恵と熱いベッドの上で推理し鮮やかに解決する…。著者会心の傑作ユーモア推理、登場。
奇妙な技を駆使して、“裏の仕事”を請負う者たちがいた。密法者。密教から引き出された「裏密」を修得した超人。彼らは金で動く。が、口はむろん、影も、形も、匂いもない。中でも裏丸は、秘中の秘「性法」に勝れ、性忍と異称される。しかも、闘具は長く太い。“天狗様”と呼ばれる裏丸の男性自身は、性の秘技と相まって、恐るべき密法パワーを発揮した。