著者 : 玉岡かおる
思いのままに吹く風のように自由な医者タイガ、大きな愛情で優しくいたわってくれるダイチ。一つを選ぶということは、一つをなくすということ。ふたりのあいだでゆれる杏奈。震災に裂かれた神戸と聖なるヒマラヤを舞台に描く書き下ろし恋愛長編。
私の髪を憮でる、その指で、その腕で、彼女のことを抱くのですかー出会った日から22歳の今日まで、ミヤコは彼だけをみつめ続けてきた。そんなある日、偶然ひき合わせた親友が、一瞬にしてふたりの歳月を飛び越えて…。きっと、だれの心の底にも沈んでいる、冷たい恋の化石を胸に、何も言えず、ただみつめるだけのせつない愛。ひそやかな片想いのゆくえを描くラヴ・ストーリー。
二十五歳という年齢は、青春の夕暮れに浮かぶ迷子のお月様のようね…。七年越しの恋にピリオドを打ち、大阪に舞い戻ったさつき。新しい職場、新しい仲間、新しい夢、そしてふるえるような恋の予感。それは、青春のフィナーレを鮮やかに彩る、せつないドラマのはじまりだった。
桜子とヤマトは、播州平野の小さな町で暮らす大学生。学生から社会人へのわずかに残された時間の中で、二人はあやふやな関係の答えを捜し始める。友達から恋人へ、たった30センチの距離を泳いでゆけない水槽の中の哀しい魚に心を託し、彼の本当の気持ちを探る桜子。三代続く女系家族の家で、自分らしく生きるために彼女が選んだ新しい道は…。22歳のせつないラヴ・ストーリー。
私の髪を撫でる、その同じ指で、同じ腕で、彼女のことを抱くのですか?出会いから22歳の今日まで、私は彼だけをみつめ続けてきた。記憶の水底にたゆたう暗い予感におびえ、「同級生」という名の距離をみずからに課しながら。そんなある日、偶然ひき会わせた親友が、一瞬にして二人の歳月を飛び越え…。深く静かな水底のような恋を描く、初の書下ろし長編。
心をしばる薬指のかわりに、すべてを断ち切る真っ赤なはさみがほしい。たとえみずから傷つこうとも…。大学卒業後、アナウンサーを目指して東京へ向かうセンリ。神戸を離れられないうしお。発車のベルが鳴り、シンデレラ・エクスプレスがいま、静かに走りはじめた-。デビュー作「夢食い魚のブルー・グッドバイ」に続く待望の第二作。書下ろし「鏡の森で 月夜の晩に」を併録。