著者 : 生馬直樹
七年前に新潟市内で起きた誘拐事件。凛(中一)と翔(小六)の姉弟が連れ去られるも、二人は無事生還。しかし、過激発言が売りのコメンテーターが二人の母・尚子を批判したことから猛烈な「母親バッシング」が起こり、尚子は廃ビルで転落死してしまう。事件の真相が解明されぬまま月日は流れ、件のコメンテーターが他殺体で発見される。同じ頃、姉弟は引き取られた施設を退所し、置き手紙を残して姿を消していた…。
コミュニティから爪弾きにされた三人の少年。暴力団組長の父を持つ玉山陸人。虐待を受け児童養護施設で育った日高航。愛人殺しの罪で父親が服役中の沖匡海。不遇な少年たちは誓った。「真逆の世界」を実現させると。やがてヤクザとなった三人は、一件の放火事件をきっかけに、地元・新潟にある大手製薬会社の社長令嬢誘拐計画を立てることになるがー。
その男の死体が発見されたのは8月21日だった。「そうか、結局死んだのか」梨木刑事の記憶は少年時代に戻る。深い後悔が僕らのすべてを引き裂いた、あの夏の花火大会の夜に。僕らは置き去りにしたのだー幼い少女を暗闇の山中に。刑事は故郷に戻り、かつての仲間と22年ぶりに再会し、事件の真相を解き明かす。胸を締め付ける瑞々しい情景描写が選考会で絶賛された新潮ミステリー大賞受賞作。
長岡第弐中のバスケ部で全国を目指す見原陽司の家に、地元の不良として名高い小金井進が居候することになる。戸惑いを隠し切れない陽司と弟の良哉。因縁のライバルである早河率いる青乃中バスケ部との対決を控え、地区予選を順調に勝ち進む弐中バスケ部だが、その間にも小金井やその仲間達の狼藉は激しさを増す。そしてある日、決定的な悲劇がもたらされてー。家族と仲間、それぞれの絆を問う哀切のミステリ。
拓海と啓、雪丸と国実は新潟の田舎町に住むお騒がせ4人組。小学校最後の夏、花火大会の夜に、僕たちは想像を絶するほどの後悔を知ったー。それから20年余り。惨めな遺体が発見され、あの悲劇の夜に封印された謎に、決着をつける時がきた。