著者 : 生馬直樹
7年前に新潟市内で起きた誘拐事件。凛(中一)と翔(小六)の姉弟が連れ去られるも、二人は無事生還。しかし、過激発言が売りのコメンテーターが二人の母・尚子を批判したことから猛烈な「母親バッシング」が起こり、尚子は廃ビルで転落死してしまう。事件の真相が解明されぬまま月日は流れ、件のコメンテーターが他殺体で発見される。同じ頃、姉弟は引き取られた施設を退所し、置手紙を残して姿を消していた……。 誘拐犯は誰なのか。姉弟はどこへ消えたのか。
謎の焼死体、社長令嬢誘拐事件、不遇な少年たちの約束ーー。 全てを覆すための哀しき犯罪計画とは。 スリリングでいて、痛いほどに切ないーー。新潮ミステリー大賞作家の大飛躍。 コミュニティから爪弾きにされた三人の少年。父親が暴力団組長の玉山陸人。虐待を受け児童養護施設で育った日高航。愛人殺しの罪で服役中の父親を持つ冲匡海。不遇な少年たちは誓った。「真逆の世界」を実現させると。やがてヤクザとなった三人は、一件の放火事件をきっかけに、地元・新潟にある大手製薬会社の社長令嬢誘拐計画を立てることになるがーー。 【著者プロフィール】 生馬直樹(いくま・なおき) 1983年12月、新潟県生まれ。2016年「夏をなくした少年たち」で第3回新潮ミステリー大賞を受賞。そのほかの著書に『偽りのラストパス』『雪と心臓』。
クリスマスの夜。 燃え盛る民家。 取り残された少女。 灼熱の地獄に飛び込んだ、一人の男。 炎の中から助け出された少女は、そのまま男に連れ去られたーー。 新潮ミステリー大賞作家が描く、ある双子の男女にまつわる二十余年の物語。 さみしさが、ぬくもりが、心に触れる傑作青春ミステリ。 クリスマスの夜。百キロ以上のスピードで暴走する車を、二台のパトカーが猛追していた。 時は二時間ほど前に遡る。その男は、偶然、火事の現場に遭遇する。家の外で助けを求める母親。二階の窓からは、泣き叫ぶ娘の姿が見える。男はこの状況に運命を感じていた。男が取った行動は、誰も予想しないものだった。燃え盛る家の中へと飛び込んでいったのだ。それから五分足らずで、男は家から出てきた。胸には十歳の少女をしっかりと抱きかかえている。周囲から、歓喜の声がこぼれる。しかし、男が次にとった行動に周囲は唖然とした。 男は少女を母親に手渡さず、車に乗せてそのまま逃走したのだ。 【著者プロフィール】 生馬直樹(いくま・なおき) 1983年12月、新潟県生まれ。2016年「夏をなくした少年たち」で第3回新潮ミステリー大賞を受賞。そのほかの著書に『偽りのラストパス』
その男の死体が発見されたのは 8月21日だった。「そうか、結局死んだのか」梨木刑事の記憶は少年時代に戻る。深い後悔が僕らのすべてを引き裂いた、あの夏の花火大会の夜に。僕らは置き去りにしたのだ──幼い少女を暗闇の山中に。刑事は故郷に戻り、かつての仲間と22年ぶりに再会し、事件の真相を解き明かす。胸を締め付ける瑞々しい情景描写が選考会で絶賛された新潮ミステリー大賞受賞作。
究極の決断に魂が震える! 家族と仲間。真の絆を問う、哀切のミステリ。バスケ部で全国を目指す見原陽司。親善大会を控えたある日、地元の不良として名高い小金井進が居候することになる。戸惑いを隠し切れない陽司と弟の良哉。小金井の狼藉が激しさを増すなか、ある日、決定的な悲劇がもたらされてーー。誰しもが抱いていた少年時代の郷愁に心打たれる、新潮ミステリー大賞受賞後第一作。
僕たちの夏の大冒険は、あまりにも哀しかったーー。得がたい才能を秘めた新人登場! 拓海(たくみ)と啓、雪丸と国実(くにみ)は新潟の田舎町に住むお騒がせ4人組。小学校最後の夏、花火大会の夜に、僕たちは想像を絶するほどの後悔を知ったーー。それから20年余り、惨めな遺体が発見され、悲劇の夜の封印された謎に決着をつける時がきた。誰もが通る少年の日々を瑞々しく描いて大絶賛された、第三回新潮ミステリー大賞受賞作。