著者 : 田村明子
長きにわたり、老若男女に親しまれているジョナサン・スウィフトの小説『ガリバー旅行記』。 小人の国や巨人の国を訪れるユニークな物語というイメージが一般的ですが、 実際は、旅行記という体裁を取りながら、政治情勢・植民地政策・宗教対立・国家間の紛争等々、 当時のイギリス社会、ひいては人類全体の愚かさを痛烈に諷刺した作品で、かの文豪・夏目漱石が「第一級の文学作品」と絶賛したほど。 しかし、そのような真の理解は、作者スウィフトの経歴、更には当時のイギリス、ヨーロッパの情勢を知った上で、 何がどのように比喩されているのかが分からなければ、得られるものではありません。 本書は、出版からおよそ三百年の節目に、四半世紀にわたってスウィフト研究に心血を注いだ作者が、その真の面白さを分かり易く解説・紹介したもの。 『ガリバー旅行記』および、スウィフトに対しての誤解を訂正すると同時に、三百年後の今日にも十分に通用する作者の気付きを追体験できます。 作中でスウィフトが度々強調している、“Public Good(人類の裨益)”。 様々な比喩・暗喩を用いて作中に散りばめられた“Public Good”の精神は、決して過去の遺物ではありません。 “Public Good”のためという意志を受け継いだ作者が著した、第一級の文学作品としての『ガリバー旅行記』を読み解くための手引きです。 はじめに スウィフトの簡単な経歴について (一)『ガリバー旅行記』の正確さについて (二)スウィフトの人生観 (三)スウィフトは ソクラテス(認識論)、プラトン(イデア論)らと同じ唯心論者 (四)死について (五)スウィフトの名誉回復 (イ)発言の前半部分『あの木は私に似ている。(上の方から参るのだ)』について (ロ)発言の後半部分『(あの木は私に似ている)上の方から参るのだ』 について (六)スウィフトからの後押し (七)『ガリバー旅行記』の日本版 おわりに
のっぽでニキビだらけの高校生アンディは、近視で運動音痴の醜い男の子。ひと目惚れした同級生プレストンも、少しは興味を示してくれたハンサムな転校生ライアンも、アンディのニキビ・コンプレックスを増長させるばかり。でも、醜い自分が美しいもの(とくに美少年!)に惹かれてしまう性癖はどうしようもなく、たまに女の子とうまく行きかけても彼の心は今一つはずまない…。70年代の地方都市を舞台に、ゲイのみならず誰もが持つ思春期のコンプレックス、疎外感をユーモア溢れるポップな文体で描く。