著者 : 甲斐萬里江
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマ。彼女がタラの学問所に入学したときに出合った最初の事件「化粧ポウチ」、学問所の最終試験として出された事件の謎を解く「痣」、ドーリィの資格を得、修道女になってからの事件、死を告げるバンシーの声の正体を暴く「バンシー」、ローマ第七軍団の鷹の謎に挑む「消えた鷹」など全六編を収録。若き日のフィデルマに会える、大人気シリーズの日本オリジナル短編集第四弾!
敵対していた小国の族長がモアン王国を訪れたそのとき、族長とモアン国王を何者かの矢が襲った。どちらも命に別状はなかったが、襲撃がモアン側の陰謀だという相手の主張に、両国は一色触発の危機に陥る。国王は自国の潔白の証明を、妹であり、法廷弁護士、裁判官の資格をもつ修道女フィデルマに託した。だが襲撃者は既に殺され、フィデルマはわずかな証拠をたよりに襲撃に使われた矢の出所と思われる村に向かう。好評シリーズ第七弾。
イムラックの大修道院で大切に保管していた聖遺物が紛失。保管担当の修道士が失踪した。そんなとき、国王と族長襲撃事件の調査にフィデルマが修道院にやってきた。救いの神とばかりに院長は調査を依頼する。聖遺物はモアン王国の宝。襲撃者のひとりが元修道士であったこともあり、ふたつの事件の結びつきを感じたフィデルマは院長の依頼を引き受ける。王国の平和と威信がかかった難事件を、フィデルマは解決することができるのか? 解説=若林踏
モアン国王である兄コルグーがフィデルマに与えた任務は、古の神々を信奉する“禁忌の谷”に赴き、キリスト教の学問所を設立する折衝をして欲しいというものだった。だが、エイダルフを伴い谷に向かうフィデルマを待ち受けていたのは、生贄のごとく並べられた、三十三人の若者たちの亡骸だった。七世紀のアイルランドを舞台に、美貌の修道女フィデルマが活躍するシリーズ第六作。
若者たちを殺したのはグレン・ゲイシュの民なのか。疑惑を胸に、族長と評議会との折衝に臨むフィデルマ。だが折衝は難航し、共に族長の城砦に滞在していたローマ派の修道士が殺された。容疑者はフィデルマ。死体を調べようとかがみ込んだところを兵士に見つかり、犯人と思われ拘束されてしまったのだ。頼れるのはエイダルフと自らの知力のみ。この窮地を如何にして脱するのか?