著者 : 矢口悟
リンジ・チェン公安委員長による裁判の結果、惑星ターミナスにファウンデーションが設置されるのが確実となった。百科辞典編纂者である全銀河から選抜された10万人の最優秀な人々は、着々と移住の準備をすすめている。これまでセルダン計画を推し進めてきた天才数学者ハリ・セルダンは、その役目をすべておえ、人生の終末期を迎えていた。だが、そんな彼のまえに、ひとりの無名人が現われた。彼は、宇宙気流の分布と混沌世界の分布との一致を発見したと言うのだ。無聊の日々を過ごしていたハリ・セルダンは、それを証明する旅に同行することになる。だが、はじめはほんのささやかな冒険のつもりだったこの旅は、やがてキャルヴィン派とジスカール派のロボット間の抗争、精神感応者のみで構成された惑星ガイア計画。セルダン計画を破壊しかねない混沌世界の誕生など、全銀河の命運をかけた驚くべき冒険の旅へと変貌していった…。
天才数学者ハリ・セルダンは、第一、第二両ファウンデーションの設立に向け、着実に準備を進めていた。若手数学者ガール・ドーニックの帝都トランター来訪をきっかけとして、リンジ・チェン公安委員長によって予定どおり告発され、帝国の滅亡を予言した咎で裁判を待つ身となったのである。すべては心理歴史学の数式の示すとおりに進んでいるかにみえた。だがそのとき、彼の数式では予測できぬ出来事が、トランターで発生していた。それは、ファラド・シンター顧問官によるロボット狩りであった。帝国内で暗躍しているにちがいないロボットたちを捕え一掃することで、シンターは皇帝に取り入り、政敵チェン公安委員長の失脚をもくろんでいたのである。ロボットを見分ける唯一の手段が精神感応能力であると考えたシンターは、強力な精神感応能力を持つ女ヴァラ・リソを使って次々にロボットを抹殺していく。だが実際に殺されていたのは、第二ファウンデーションの要となるはずの精神感応者たちであった…。
衰退しつつある銀河帝国を救う未来予測の理論、心理歴史学を完成させるべく、帝国の首都惑星トランターの大学で研究を続ける天才数学者ハリ・セルダン。首相エトー・デマーゼル(R・ダニール・オリヴォー)によって、皇帝クレオン1世に次期首相として推薦されたハリ・セルダンだったが、できることなら政治などにはかかわらず、大学で研究に専念したいというのが本音であった。一方、心理歴史学を利用して自らの治世の維持をはかろうとしていたクレオン1世も、議会の反対にあい、なかなかセルダンを首相にできずにいた。そんなおり、辺境惑星サークの遺跡から発掘された模造人格2体-ジャンヌ=ダルクとヴォルテールがセルダンの研究室にもちこまれた。2体は、帝都トランターの巨大コンピュータ内の仮想現実に再生されたが、よもやこれが、銀河帝国の根幹を揺るがす怖るべき危機につながろうとは…!?巨匠アイザック・アシモフの遺志をつぎ、現代SFを代表する三人の旗手-グレゴリイ・ベンフォード、グレッグ・ベア、デイヴィッド・ブリンが、見事に再構築した「新・銀河帝国興亡史三部作」、待望の第一部堂々登場。