著者 : 石飛卓美
山深い過疎の村に、時空を超えて現れた少年と犬。それが騒動の発端だった。山の自然を破壊し村を水没させるダムの建設をめぐって、奇妙な殺人事件が続く。村に住む老人、東京からやってきた若い新聞記者、二人を結ぶ運命の時間流とは-。SFタッチで描くニュー・サスペンス。
むかしむかし、ではなくて、みらいみらい-。中年の男から奇妙な動物をあずかった若者は…。(「回転ペット」)。世紀末のセックスはどんなふうに…。(「東京だよ落下傘」)。月へ赴任することになったおれは、任務を知らされぬまま…。(「月面シャワー」)など、傑作14編。
新江戸市は東京湾の広大な埋立て地に建設された電脳都市だ。ハイテクノロジーを駆使した、SHOGUNと呼ばれるバイオ・スーパーコンピュータにより、都市機能の全てが統御されている。が、市の数ブロックがシステム統制不能に陥り、その区域が拡大し始めた。霊囿空間が出現したのだ。突然のコンピュータの反乱に、秘密組織TAJIHIは破極拳の遣い手・川神乱武郎を派遣する。ブロックの住民は憑きものに侵され、殺し合いを始めた。SHOGUNの目的は何なのか!?その人工頭脳に秘められた、恐るべき過去とは?
茅野亜季子、フツーの高校一年生。ある朝、大事件がおきた。土曜日から、いきなり月曜日になっている。そんなあ!?どうやら、ちがう世界にまぎれこんでしまったらしい。ある日、町で亜季子は、不思議な少年・ミノルに出会う。ミノルはとってもやさしくて、亜季子はミノルにどんどんひかれていく。でも、ミノルは…?
時間泥棒社-和歌月北斗の仕事場には、小さなプレートが下げてある。記憶を消すのが彼の商売である。霊魂の憑依によって、脳裡を支配していた意識を深層に閉じ込める。憑霊治療と呼ばれる闇の商売だ。「娘の失語症を治してほしい」倉地と名のる男が訪ねてきたとき、背後に胡散くさいものを感じた北斗だったが、治療をひきうけることにする。しかし、倉地に大金をまきあげられたパチプロ・松木が現われ、倉地は少女・木花咲耶を残し逃亡する。言葉を失った咲耶の過去に何があったのか!?神話の炎が、いま甦る!書下し長篇伝記アクション。
出雲呪族抹殺を計る天孫・須米婁。彼らは、迫害の呪詛を綴った簸上文書の存在を嗅ぎつけ、次々と一族を襲撃する。呪族の末裔である画家・鬼祭光舜は“タマシキ”と呼ばれる精神遊離の操霊術を用いて、捕われの身となっていた簸上省吾、涼子、そして光舜を慕う手銭柚子香を救出した。暗闇の歴史の中にあって絶えず須米婁を脅かしたのは、呪族の血が継承する歴力による抵抗であった。光舜の違伝的操霊能力に恐れを抱いた須米婁の総帥・天の道士は、最後の闘いを挑み、刺客を放つ。聖地・出雲で、呪族存亡をかけた死闘が始まろうとしていた。
漂泊の民、出雲呪族。彼らは山野を放浪し、歴史の裏側で暗躍した一族である。出雲王朝崩壊後の迫害の歴史は怨念の呪詛として一子相伝で語り継がれてきた。しかし、簸上竜造が掟を破り、3千年におよぶ遺恨を文字にたたきつけた。陰から体制を支配しつづけてきた謎の天孫一族・須米婁は、簸上文書の存在を嗅ぎつけ、闇に葬り去ろうと動きだした。支配者・須米婁にとって日本史を否定されることは自らを否定されることを意味するからだ。次々と襲撃を受ける出雲呪族。鬼祭光舜は人狐と呼ばれる精神遊離の呪用を用いて、須米婁の魔手を退けようとするが…