著者 : 福本和也
羽田空港の老入国管理官・的場の目前で、台湾人の入ったトイレが白煙を上げて吹っ飛んだ。一方、調布飛行場を飛び立った小型機の撮影した高精度の航空写真には死体らしき白い影が写っていた。連絡を受けた航空検察官の伊吹卓は、多摩丘陵に走り、身元不明の東南アジア人の死体を発見。マスコミを通じて的場から報告を受けた伊吹は同時に台湾から入国した四十代の東南アジア人を追う。航空サスペンス書下し。
航空検察官・伊吹竜のもとへ奇妙な遺書が届いた。文面は“虎は必ず放たれる”。かつて北朝鮮への亡命にハイジャックを企て失敗、死刑を執行された男のものであった。同じ頃、北朝鮮工作員とみられる男の惨殺体が発見され、所持していた暗号から「竜」の文字が浮かんだ。折しも全斗煥大統領の来日を控え、国際的謀略を嗅ぎとった伊吹竜は、「虎」と「竜」を追って大阪の街に潜行した。長篇航空アドベンチャー。
一匹狼の空輸パイロット天藤謙は、アルバイトで学生を実習訓練中、奇怪な事件に遭遇した。目の前で単発機が太平洋上に墜落。それは登録ナンバーを消された上に、何と無人だった。折しも山口県では発掘中の縄文土器から二千年前の生きた籾が盗まれた。二つの怪事件は、やがて見えざる謀略の糸によって結びあわされ、天藤を国交のない半島のC国へ潜入させることになった…。国際政治の暗部を抉る航空活劇。
ヤクザ組織を近代的な企業へと変身させた宝田徳一は、組は部下に任せ、Q薬品を乗っ取り、社長に就任した。飽くなき野望の実現に挑む宝田は、ついに政界への進出を画策、市長選への出馬を決めた。一方、Q薬品では、動物を使って恐怖の実験を続けていた…。波瀾万丈の宝田徳一の極道人生ピカレスク・ロマン完結編。
「緊急事態発生!」沖縄行き巨人機に離陸直後、エンジン火災が発生。機は、羽田に緊急着陸するとの報が管制塔に入った。が、その直後、交信が途絶え、そのまま辛うじてC滑走路に着陸した。ところが、機内の乗員、乗客が全員死亡していたのだ…!航空ミステリーの第一人者が、空の密室犯罪に挑む傑作長編。
マニラ発成田行極東58便の機中から一人の乗客が消えた!翌朝、消えたはずの乗客・武藤俊介が相模湖で水死体となって発見された。武藤は、暴力団・水島組の幹部だったが、マニラで“じゃぱゆきさん”の日本人手配師として暗躍していたらしい。極東航空のパイロットで、新宿にシマを持つ酒巻組の三代目組長でもある酒巻茂樹は、武藤失踪に疑惑を抱き、事件の裏に隠された真相を追うが…!マニラを飛び立った酒巻の操縦する極東58便に刻一刻と危機が迫っていた…。マニラ-東京間で暗躍する暴力団に絡む殺人事件を背景に、熾烈な暴力団のサバイバルゲームを描いた、長編推理アクション小説の書下ろし会心作!
わいのような人間に、ゼニ賭けがでけるのは、この世界しかない。-宝田徳一は、ヤクザの社会を、学歴なしでのし上がれる一つの企業だと解釈した。多少の腕力と知恵があれば、いくらでも金を稼げるチャンスがある。果てしない抗争をくり返す“組”を背景に、悪の哲学を貫いた男を描く長編アクション小説。