著者 : 秋月アスカ
馬車に轢かれ、魂だけの存在になっていた町娘ユーナは、とある事情から、聖女シェリアスティーナの身体に入り、1年間の期限付きで王宮暮らしをすることになる。そんな中、ユーナは誠実で優しい騎士アシュートに淡い恋心を抱きはじめる。けれど彼はシェリアスティーナの婚約者で、国で一番の騎士。自分には届かない人だと、その想いは胸にしまい、残された時間は、いずれ戻ってくるシェリアスティーナのために使うことを心に決める。そして迎えた別れの日。ユーナはアシュートに抱き締められながら、幸せな気持ちでシェリアスティーナの身体から去った。悲嘆に暮れるアシュートだが、身体に戻ったシェリアスティーナから、ユーナがまだ生きていることと、その命の危機を知らされて…。ユーナをどうしても助けたいアシュートは、ある決意をするのだがー?
ユーナへの抑えられない想いを自覚するアシュート。しかし、彼女が消えてしまう日は間近に迫ってきていてー。身代わり聖女の王宮ファンタジー、最高潮第3巻。
真っ白な空間で出会った謎の光に請われるがまま、聖女シェリアスティーナの身体に入り生活することになった町娘ユーナ。シェリアスティーナの起こした過去の陰惨な事件に傷つき、反抗的だった王宮の人々は、ユーナの純粋な心に触れてゆっくりと変わっていき、ユーナも穏やかな王宮での暮らしに安らぎを感じるようになる。しかし、新たな護衛として現れた思いもよらない男の存在が、ユーナの心を揺るがしていく。シェリアスティーナに身体を返し、いずれ消えなければならないことに複雑な気持ちを抱くユーナ。己の迷いを断ち切るように、シェリアスティーナの過去を知るべく奔走するが、聖女を亡き者にしようとする反聖女派の動きも活発になってきてー。
平凡な町娘だったユーナの日常は唐突に失われた。真っ白い空間で出会った正体不明の光に請われるがまま、美しい聖女の身体に入って生活することになってしまったユーナを待っていたものは、聖女の婚約者である第一神聖騎士アシュートの思いがけない侮蔑のまなざしと、侍女たちの努めて無感動な表情、そして、王宮をつつむ張りつめた空気であった。わけもわからず混乱のまま、それでもなんとかやっていこうとするユーナであったが、ある夜、螺旋階段の奥に潜む聖女の罪を知り…。