著者 : 竹本公彦
「こころ」 ─夏目漱石の世界─「こころ」 ─夏目漱石の世界─
先生はなぜ、自分を慕う一人の青年に遺書を託したのか──同郷の友人が思いを寄せていた女性を妻にしたこと、その友人が自殺してしまったこと、自身の内面を妻に打ち明けられずにいたこと…。己の運命に苦しめられた男の「こころ」を、登場人物たちの関係性から読み解いていく。先生が以前「私のようなものが世の中へ出て、口を利いては済まない」「恋は罪悪です」などと語っていた気持ちを、青年はそのとき既に心の奥で理解していたのかもしれない。 はしがき/序論/本論(一、先生の“こころ”/二、Kの“こころ”/三、奥さん(先生の妻・静の母)の“こころ”/四、御嬢さん(静)の“こころ”/五、私の“こころ”)/後序/あとがき
「草枕」 ─夏目漱石の世界─「草枕」 ─夏目漱石の世界─
絵を描けなくなった画家が、探していたものとは何だったのか。旅の宿で出会った女性の存在を通して語る、漱石の芸術論、東洋思想、宗教哲学、文明論などを解説。人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。矢張り向う三軒両隣りにちらちらする唯の人である。(『草枕』より) 人は一人では生きられない。他の人と関わり合うことによって存在しているのだ。 はしがき/序論/一、余の芸術論と仏教思想の章/二、漱石の風景描写の章/三、那美さんの章 /四、余と大徹和尚の章/五、余と那美さんの章/後序/あとがき
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