著者 : 花村萬月
眠り猫眠り猫
新劇女優の村上冴子は、アルバイト先の銀座のクラブで奇妙な探偵コンビに遭遇した。“眠り猫”と呼ばれる元刑事の仁賀丈太と相棒で元ヤクザの長田勲だ。仁賀は仏さまのように柔らかい表情を浮かべているが、やけにごつい体格をしている。一方、長田はまさにその筋の雰囲気だが、意外に繊細である。今までつきあってきた生半可な男たちとは明らかにちがう。この得体のしれない二人組に惹かれた冴子は、いつのまにか暴力団同士の抗争に巻き込まれ…。哀しくも凄絶な愛のかたちを活写する傑作・長篇探偵ブルース。
なで肩の狐なで肩の狐
俺は“キツネ”。元ヤクザだ。幼馴染みの玲子と飲み屋を経営している。そんな俺のもとへ古巣の福岡組の徳光が厄介な話を持ってきた。金の入った大型アタッシュ・ケースを預かってほしいと言うのだ。つい引き受けてしまったのが運の尽きだった。福岡組から狙われ出したばかりか、元相撲取りの蒼の海というおかしな野郎の面倒まで見る羽目になり…。元ヤクザと元相撲取りの最強コンビが暴力団を相手に凄絶な闘いを繰り広げる-。ハードボイルドの枠を超えた大型新鋭渾身の究極のエンターテインメント。