著者 : 花村萬月
修道院で育った天涯孤独の美少女・山崎紫苑は、完璧な殺人マシーン。神の名の下に組織に純粋培養され、政府の要人らを始末する日日を過ごしていた。そんなある日、完全防備のはずのマンションの部屋に何者かが侵入し、殺されかける。さらに好意を寄せていた管理人も、実は紫苑を狙う暗殺者であった。いったいなぜ。不安と絶望のさなか、偶然出会ったフリーのカメラマン・伊東から、初めて現実世界を知らされる。伊藤を愛するようになり、自我が芽生えた紫苑は、次第に組織と自分との存在に疑いを…。
“眠り猫”こと仁賀丈太は、一見しがない中年男だが、実は凄腕の私立探偵だ。その腕っぷしとは裏腹に、だらしない性格が災いして、酒代のツケのカタに息子のタケをオカマのララが経営する飲み屋で働かせている。そんなある日、鷲尾と名乗る正体不明の総会屋がタケの前に姿を現わした。直後、鷲尾の舎弟の富士丸がチェーン・ソウを振り回して乱内し、店内を次々に破壊しはじめた。奴らの目的はいったい何か?圧倒的な迫力で濃厚で凶暴な愛のかたちを描く待望の傑作・長篇探偵ブルース第2弾。
新劇女優の村上冴子は、アルバイト先の銀座のクラブで奇妙な探偵コンビに遭遇した。“眠り猫”と呼ばれる元刑事の仁賀丈太と相棒で元ヤクザの長田勲だ。仁賀は仏さまのように柔らかい表情を浮かべているが、やけにごつい体格をしている。一方、長田はまさにその筋の雰囲気だが、意外に繊細である。今までつきあってきた生半可な男たちとは明らかにちがう。この得体のしれない二人組に惹かれた冴子は、いつのまにか暴力団同士の抗争に巻き込まれ…。哀しくも凄絶な愛のかたちを活写する傑作・長篇探偵ブルース。
俺は“キツネ”。元ヤクザだ。幼馴染みの玲子と飲み屋を経営している。そんな俺のもとへ古巣の福岡組の徳光が厄介な話を持ってきた。金の入った大型アタッシュ・ケースを預かってほしいと言うのだ。つい引き受けてしまったのが運の尽きだった。福岡組から狙われ出したばかりか、元相撲取りの蒼の海というおかしな野郎の面倒まで見る羽目になり…。元ヤクザと元相撲取りの最強コンビが暴力団を相手に凄絶な闘いを繰り広げる-。ハードボイルドの枠を超えた大型新鋭渾身の究極のエンターテインメント。