著者 : 若山三郎
不世出の実業家、根津嘉一郎。県会議員時代に同郷甲州政財界の重鎮、若尾逸平から示唆された言葉「株をやるならば、これからは『乗りもの』か『明かり』だ」が彼の関心を実業界へと向けさせた。倒産寸前の東武鉄道再建に乗り出し、強気の経営哲学のもと消極派を押し切って成功に導く。数多くの企業に関わりながら一族経営を排し、利益の社会還元を忘れなかった嘉一郎の波乱の生涯を辿る。書下し評伝小説。
慶応元年伊万里に産声をあげ、陶器問屋を営む伯父の下で、幼いころから学問と商人の道をたたき込まれた森永太一郎。コンニャクの行商からはじまり、幾多の艱難辛苦を乗り越えてきた二十三歳の年、ある事情から九谷焼を携え渡米することになった。唯一残ったのは借金であったが、彼の目の前に現れた女性が差し出した、たったひと欠片のキャンデーが彼の人生を大きく変えていくことになった。書下し起業家伝。
夏休みの最後の数日を長野県下の親戚で過ごした矢車ユカは、クルマで東京へ帰る途中の軽井沢で、一人の女性を轢死させる寸前に危うく難を逃がれ、この女性を追っかけて白樺林の中から姿をみせたサングラスの男を、その特技の護身術でその場に叩きつけていた。京北女子大学二回生のユカは、鬼警部で知られた元警視庁刑事の祖父との二人暮らしで、幼少のころよりその祖父から指導を受けていたことで、護身術には特に長けたものがある。そんな矢車ユカが、この偶然の出会いが奇縁で、親友横芝真奈の兄でプレイボーイを自任する陽一にまつわる連続殺人事件の渦中にまき込まれることになって…。-キュートな女子大生探偵と、元鬼警部の祖父の名コンビで難事件に挑む好評シリーズ作。
ユカ、ちょっと来てくれない。これから招かざる客と会わなきゃいけないんだけど、立ち会ってほしいんだ。というクラスメート浜島香名江の電話に二つ返事で彼女のマンションに駆けつけた矢車ユカだったが、ユカがそこで見たものはなんと首にビニール紐を巻きつけられて殺されている友人の無惨な姿だった。彼女の仇討ちにと犯人捜しに乗り出したユカの調査に、つぎつぎと明らかになっていく翔びすぎた友の思いもかけない乱れた私生活。そして、またもや殺人が…。いったい、だれが何のために?懸命の奔走に浮かび上がった複数の人物。しかし、彼らにはそれぞれに動かしがたいアリバイがあった…。-お茶目でキュートな女子大生探偵と元警視庁の鬼警部だった祖父の名コンビが惨劇に挑む。ユーモアタッチで描かれた若山三郎の好評シリーズ作、青春ミステリー第4弾。
『ラブユー化粧品』のビューティー・インストラクターのバイトをしている野崎美保から、「彼から脅かされてるの、すぐ来てちょうだい」との電話をもらってそのアパートを訪ねた女子大生仲間の矢車ユカは、はからずも殺人事件の死体第一発見者となってしまった。ユカの110番で駆けつけたのは所轄の捜査員と本庁の村瀬刑事だった。彼は5年前に警視庁を退職したユカの祖父である彦之進の元部下で、これで3度目の出会いであった。奔放な美保の性生活の故か?友人晴子と犯人捜しにのり出したユカだったが、晴子の下に奇妙な脅迫電話が。さらに、正体不明の“ホクロ男”の出現。そして、晴子までが。-女子大生仲間にとりついた殺意に挑むお嬢さん探偵ユカの迷推理はいかに…。
世はあげて財テクブーム。警視庁捜査一課を5年前に定年退職した祖父の元警部矢車彦之進と2人暮らしのユカは、ちょっとおっちょこちょいだが明るく活発な京北女子大の英文科2年に席をおく美人女子大生だ。ユカのクラスでもいま財テクが大流行、なかでも、親友の庄子と奈緒は夢中。2人は庄子が帰省のおり知り合った証券会社の新入社員西野の紹介で買った株で大儲けし、すっかり味をしめてユカにまで財テクをうるさく押しつける。が、間もなく大暴落。なけなしの資金を無にした2人は西野を責め立てた。その庄子が何者かに殺され、解剖の結果、意外や庄子は妊娠2ヵ月、そしてまた殺人が追っかける。-財テクとセックス、清純なお嬢さん探偵ユカは完全な“迷路”にはまり込んだ。
矢車ユカ、北沢亜紀、野川朝子の3人は京北女子大英文科の2年生、花の美人トリオ。ユカは元警視庁捜査一課警部の祖父彦之進との2人暮らしで、亜紀と朝子は共に地方出身でアパートでひとり住まい。そんな3人組みが思いがけず殺人事件にまき込まれた。殺されたのはスナックでバイトをしていた先輩で、その死体のわきには「拒絶」の花言葉をもつガーベラの赤い花弁が意味ありげに置かれていた。3人組みが捜査を開始したが、疑えばだれもが怪しい。そんな時ユカに奇妙な脅迫電話が。そして朝子が、続いて亜紀が殺された。死体にはどちらにも赤いガーベラが!?お嬢さん探偵ユカが危ない!-花の女子大生ユカの迷探偵ぶりは?お嬢さんシリーズ“復活”の青春ミステリー。