著者 : 茅律子
「わたしはあなたを見ている」心理療法士のわたしは、不気味なメッセージを受け取った。それをきっかけに、家中の電気が突然切れたり、飼い猫が姿を消したり。誰かがわたしを監視しているのだろうか。そしてついに、家の近くで担当する患者が遺体で見つかる。わたしは警察に疑いをかけられたうえ、触れられたくない過去まで掘り起こされるー人の心を知り尽くした心理療法士が極限状態に追い込まれる迫真のサスペンス。
その朝、新聞を開いたクロゼットの住人は、セント・エリザベスの校長ロスコウの死亡記事に仰天した。昨日は元気だったのに…ところが当の本人はピンピンしていた!不可解な事件は学校の生徒のいたずらと判明するが、その直後にロスコウが急死し、事態はにわかにきな臭くー明敏なるトラ猫ミセス・マーフィの鼻は、これが事件の幕開けにすぎないと嗅ぎわけていた。動物パワー全開の名推理が事件の謎を解明するのか。
地元の競馬大会で起きた殺人事件は、人間界のみならず動物界も沸騰させた。「騎手が誰かに刺し殺されたの。心臓をトランプの上から貫かれて」たまたま現場に居合わせたコーギー犬タッカーは、トラ猫ミセス・マーフィに得意気に語った。コカインや遺産相続といった不穏な単語が人間たちの間で囁かれるなか、名探偵を自認するトラ猫は、目撃証言を求めて鼠との協定締結に乗り出す。人畜力を合わせての推理の行方やいかに。
窮屈なしきたりなんて、まっぴらーわたしは女ひとり、タイピング・サーヴィス業で身を立てることにした。だがやがて、わたしの依頼人たちに次々と恐ろしい事件が!オフィスにやってきた中国人が、数日後何者かに殺され、作家志望の青年は、原稿を預けたきり消息を絶ってしまった。好奇心を抑えきれず、わたしは調査にのりだすが…ガス灯時代のサンフランシスコに勝ち気なアマチュア探偵登場。マカヴィティ賞受賞作。
郵便物集積場349-ここはアメリカじゅうのデッド・レター、宛先も差出人も不明の郵便物が行き着く場所だ。その処理にあたる郵政捜査官エイモンのもとに、残虐な殺人の証拠となるデッド・レターが回されてきた。同封の写真に全裸の少年と切断された性器、顔を隠した犯人が映っていたのだ。サイコパスの犯行とにらんだエイモンは、捜査を開始するが…一通の手紙から、驚くほどの情報を探りだす郵政捜査官エイモン登場。
弁護士のジェフは、気づいたときにはすべてを失っていた。くじを当てて大金持ちになった妻が、何もかも奪ってしまったのだ。専業主婦だった女の復讐なのか。家も財産もおいしい料理も、いまの彼には自由にならない。残されたのは愛車と愛人だけ。やがて彼は完璧な殺人計画を思いつくが…。
名門の男子寄宿学校で、一人の生徒が首の骨を折って死んでいるのが見つかった。学校側は事故死として片づけたが、その直後、別の生徒がまたもや死体となって発見された。今度も首が不自然にねじれており、殺人と断定した警察は捜査を始める。だがまもなく、新たな犠牲者が…。残虐な手口で生徒を次々と狙う犯人の目的とは?外部から隔絶された寄宿学校で起きた連続殺人を、期待の新人が鮮烈に描きだす出色のサスペンス。
熱波が襲うサンフランシスコの空地で、一人の娘が殺された。美しい顔を歪ませた死体は背中で両の親指を縛られ、近くの地面には牛の絵が刻まれていた。これは中米ゲリラの復讐の印か?捜査を始めた刑事クルスは、事件に絡む密入国組織の存在を知るが…。戦火の中米から密入国したゲリラが潜む都会のジャングルを舞台に、中年刑事の心死の捜査を描く力作。
夫に棄てられ心に深い傷を負い、一時の激情で行きずりの男を殺してしまったアンナ。妻との感情のもつれから鬱々として日々を送る警視バーニー。アンナの犯した忌まわしい殺人がふたりを出会わせたとき、孤独な人は互いを求めあう。…ニューヨークを舞台に愛をなくした男女の寂しさをサスペンス豊かに描き出す、血と哀しみに彩られた危検なラブ・ストーリー。
レジャーセンターの建設現場で古代の遺跡が発掘された。地下に封じられていた小部屋にはおびただしい骸骨が…。それが恐怖の幕開きだった。建設現場では原因不明の事故が続発して多くの作業員が命を落とし、町では両眼をえぐられた無惨な死体が次々に発見される。美人考古学者キムとウォレス警部の二人が一連の事件の指し示すものに気づいた時、想像を絶する結末は間近に迫っていた。強烈な残酷描写を過剰なまでに盛り込み、パワフルな筆力で描く、鬼才の会心作。
さよならスティーヴ。ベッツィーのこと、よろしくね…とうとうトリシアがいっちゃった。悲しみにくれるスティーヴだけど、最後になにか約束をしてたみたい。きっとトリシアの姉さん、町いちばんの不良娘のベッツィーのことだわ。そういえば、あれからスティーヴはベッツィーにとってもやさしいし、彼女もちょっぴりまじめになったみたい。でも、ジェシカはおかんむり。不良娘と兄さんが仲よしなんて…。またまたなにか、たくらんでるんじゃないかしら。
顎に冷たい物を感じて目がさめた。ぬるついた物体が唇に這い上がり、口の中に滑り込んでくる。頭の傷に手をやると、何かが傷口にしがみついていた。粘液にくるまれた生物が温かい肉をむさぼっているのだー悲鳴をあげて飛び起きたときは手遅れだった。部屋は、うごめき這い回る食肉虫の群れに覆われていた。彼の肉体を喰い尽くそうとする大群に…異常発生したナメクジの群れが、食糧を求めて人間に襲いかかる!気鋭の若手がおぞましき恐怖を描く傑作スプラッター。