著者 : 草川隆
寝台特急「エルム」のB寝台で芸能プロダクション社長が変死した。毒物による他殺も考えられる。数日数、容疑者と目される人物が都内のホテルで毒殺された。二つの事件で容疑者扱いされた作詞家の小池は身の潔白を証明すべく、犯人探しに乗りだす。協力するのは殺された社長の姪・純子。が、二人が犯人と睨んだ人物には鉄壁のアリバイがあった。
山崎英世を刺したのは水町圭子だった。小道具の出刃包丁が本物と取り替っていたのだ。誰が取り替えたのか。撮影現場は衆人環視の中にあった。そして直後に「かいじ」に乗って松本へ向った水町圭子の姿は掻き消されたかの如く消えてしまった。捜査の手が彼女の身辺に迫るころ、信州・諏訪湖の冷たい湖面に彼女の水死体が浮いた。いったい誰が。
盛岡発の東北新幹線〈やまびこ〉が東京駅に近づいた時、マネージャーの古山博が女優の杉本美也子のいる個室を訪れると殺されていた。女優の死体の傍には古山が紛失したライターがあった。女優には江波浩一という歳下で俳優の恋人がいた。事件の二日後、やはり〈やまびこ〉に同乗していた女優の森啓子が密室状態の自宅で死んだ。警察の捜査とは別に、古山達は独自の捜査をはじめて、幾つかの成果をあげる-。芸能界を舞台に展開する連続殺人事件を描く書き下ろし長編ミステリー。
“博多どんたく”の群衆の中と、翌日の上り特急「あさかぜ」の中で男が次々と刺殺された。「まつお」というダイイングメッセージから同じ車輌に乗っていた共通友人松尾浩史への容疑が深まっていった…。二つの刺殺事件の接点を求めて捜査は二転、三転し、やがて犯人を追いつめるが、捜査人の前に二重密室の完璧なトリックが重くのしかかってくる…。
宮崎発東京行きの寝台特急「富士」の個室から女性の生首が発見された。そして、死体の一部が静岡の安倍川と東京の隅田川に浮かんだ。丸の内署の下川刑事は被害者と同じ車輌に乗っていたと思われる意外な人物を捜し出すが、死亡推定時列車は岡山ー名古屋間をノンストップ走行中で、下車することは不可能であった。消えた犯人の影を追って下川刑事は一人九州へと旅立つが…。時間のトリックを衝く会心の鉄道ミステリー。
芸能プロの社長が病院から誘拐され、時をおかずして犯人より、身代金1億円を要求する電話が入った。受け渡し場所は新宿駅、それも急行「アルプス82号」の車内という。周囲は私服警官で蟻の這い出るスキもなく固められた。しかし車内に入るや1億円は忽然と消え失せ、残されていたのは男の生首だった…。残酷な手段に隠された犯人の真の狙いとは?
「無縁坂で起きた人妻の自殺を洗い直せ」という密告電話がかかってきた。夫、青山の取材を進める新聞記者の白井浩介は、数年前にも彼の前妻が事故死し、多額の保険金を手にしていることを知る。その矢先、彼の愛人が惨殺死体で発見され、妻殺しと共に青山への容疑を深めた。だが、青山が完全な密室状態で殺害され、事件は振り出しへと…。地道な密室殺人の謎解きから、やがて意外な人物が浮かびあがってくる。長篇本格推理。
東京・赤坂のTV局のスタジオで、女が不実な男を刺殺するシーンの撮影が行なわれた。無事撮影は終了したが、刺された男に扮した俳優が身動きひとつしない。不審に思ったスタッフが駆け寄ると、彼は役柄どおり、心臓を一突きにされ、絶命していた。その直後、相手役の女優が失踪。翌々日、彼女の死体が、諏訪湖に浮上した。衝撃の幕あけとなったこの殺人ドラマの奥は深く、捜査は難航。その矢先に第2の殺人が…。複雑な芸能界の人間模様を背景にして、新機軸の書き下ろし長編ミステリー。
春まだ浅い東京・隅田川に、製薬会社重役の死体が浮かんだ。所轄署は初動捜査の結果、被害者が新幹線「ひかり」を降りて間もなく殺害されたと断定。容疑者としてイラストレーター・野々村をマークした。野々村の恋人・中原夕子は、彼のため、叔父の新聞記者・木下の協力をあおぎ、真犯人捜しを開始、やがて、それらしき人物を追いつめる。しかしその人物には鉄壁のアリバイがあった。-本格推理の醍醐味をたっぷり味わえる、書き下ろし長編ミステリーの傑作。
19時25分新宿駅4番ホームに到着した〈あずさ18号〉から、最後の乗客が下り立っても夫は現われなかった。首をかしげながら車内に入った妻は、座席で寝入っている夫を発見、肩を叩いた。その瞬間、夫の体はくずおれた。口からアーモンドのような甘い香りを漂わせて。-列車内の死者は無差別殺人の犠姓者か、それとも?著者渾身の長編ミステリー。
中を覗いた少年は、ぎょっとした。目の前の寝台のシーツが赤く染まっていたからだ。爪先立ちした少年が、寝台の上で見つけたのは、血まみれになった男だった。だが、少年は、すぐにその男がどういう状態でいるか理解できなかった。「坊や、どうしたの?」この時、少年は車掌に声をかけられた。「あッ、車掌さん、人が死んでいるみたいです」「本当かい、坊や」半信半疑でドアを開いた車掌は腰を抜かしそうになった。だが、自分を励まし、さらに半歩、前進した彼は、思わず悲鳴をあげていた。乗客の頭がつぶされていたがらだ。目をそらした車掌は、あとずさりすると、少年がまだそこにいたのも忘れて、あわてて同乗している鉄道警察隊員に知らせに行った。-寝台特急〈はやぶさ〉の個室寝台で発見された頭部損壊、両脚切断の無惨な遺体!ますます好評の長編書き下ろしミステリー。
“博多どんたく”フィーバーに湧く群衆の中で、写真家が刺殺された。その翌日、午前零時19分個室寝台〈あさかぜ4号〉が岡山駅を出た直後、人気劇画の原作者近藤篤夫が2号室で何者かに胸を刺された。発見者の画家岡部俊郎と車掌が耳にした「まつお」というダイイングメッセージから、同じ車輌に乗っていた共通の友人松尾浩史への容疑が深まっていった…。2件の刺殺事件の接点を求めて、博多-東京-松本と捜査は二転、三転、やがて犯人を追いつめるが、捜査陣の前に、車輌と個室寝台の二重密室の完璧なトリックが重くのしかかってきた…。大ヒット「個室寝台殺人事件」に続く、待望の書下ろしトラベルミステリー第2弾。
芸能プロ社長が誘拐され、JR新宿駅4番ホームに到着した急行〈アルプス82号〉の網棚から、彼の生首入りバッグが発見された。同時に身代金1億円入りのバッグが、こつぜんと消えた。白日の下に曝されたバラバラ遺体。なぜ、こんなに残酷、非情な犯行が!?快心の書き下ろし長編ミステリー!