著者 : 落合教幸
ボストンバッグを大事そうに抱く、挙動不審の男と会った河津三郎。 男を尾行し、怪しげなボストンバッグを巧みにすり代えた河津が見たものとは…! バッグを失ったと知った男は、上野公園内の五重の塔頂上で縊死をとげる…、 青年素人探偵の河津三郎が巻き込まれし奇妙な事件! =幻の作品『悪霊』を収録= 推理小説の専門誌『新青年』に1933年(昭和8年)11月号から翌年の1月号まで連載された。 乱歩が途中で創作意欲をなくし、2号続けて休載した後、4月号に読者への詫び状を書いた上で連載中止。 その後も執筆が再開されることはなく、乱歩の死によって永遠に未完の作品となった。
大江白虹とその友人で新聞記者・折口幸吉が銀座で目撃した怪事は、 通行中の若い女に襲いかかる巨大な短剣の影であった。 イモムシを連想させる、緑色の衣に包まれた殺人鬼の謎!真相は二転三転!
H製糖株式会社取締役・川手庄太郎は差し出し人不明の脅迫状に悩まされていた。 川手氏とその娘たちの命をねらう不敵な復讐者、その正体とは? 川手氏の依頼を受け、素人探偵で法医学界の権威・宗像隆一郎博士が犯人究明に立ちあがるも、助手の木島が殺される。 さらに復讐鬼の悪魔の手は、娘たちへと伸びてゆき・・・。 かくて宗像博士を助けて、われらの名探偵・明智小五郎の登場となった!
隅田川近辺の川岸に建つ「三角屋敷」とも「三角館」とも呼ばれる蛭蜂一族の洋館。 1月下旬の雪の日の深夜、その三角館で1発の銃声が鳴り響いた。 双子の当主が生き残り、遺産相続権をめぐる執念と敵意が、異様な情況をここに寄る一族すべての者たちに及ぼしていた。 殺人犯は内部の者に限られている。7人の容疑者のうち、はたして真犯人はだれか…? アメリカの作家ロジャー・スカーレットの本格編「エンジェル家の殺人」を原作にする傑作翻案小説。
工学博士・五十嵐東三の大いなる夢は、東京・ニューヨーク間を五時間で飛ぶ超高速機の試作であった。 軍の援助で長野県上田市の温泉の裏山にある某貴族の別荘に、五十嵐博士を首班とする秘密設計班が立てこもった。 老博士の長男新一と助手の南博士の妹京子のふたりが山の見晴らし台で見た怪しい影…、煙突の中からはい出した怪人物はスパイか!? 老博士は何者かに刺され重体…、新一は行方不明…、底知れぬナゾは深まってゆく…! 他に昭和二十五年発表の「断崖」、二十九年発表の「凶器」の名作二編も同時収録! 推理界の大御所・江戸川乱歩が、終戦間近い昭和十八年より十九年にかけて連載執筆した異色作。 戦時下の世相をしのばせるファン必見の傑作編!
妖美幻想の世界を描く巨匠・江戸川乱歩の代表的名作! 名古屋市のある資産家の次男、青木愛之助は猟奇の徒であった。 招魂祭でにぎわう九段で、愛之助は大学以来の友人・品川四郎に瓜二つのスリに出会い、怪奇な事件の幕が上がる。 銀座裏の陰気なカフェーでポン引き紳士にさそわれ、愛之助は「秘密の家」に案内された。そして、そこで見たものとは? 品川そのままの幽霊男が出没するところ怪奇な事件は続き、物語はいよいよ佳境へ……。
戦後の東京。怪しげな洋館に暮らす奇人資産家一家を襲う謎の怪人。 一家の長男・美青年の一郎の依頼で、怪人を追う名探偵・明智小五郎と助手の小林少年。 息もつかせぬおもしろさ! 「暗黒星」「闇に蠢く」の2編を収録。
初秋の塩原温泉、世にも奇怪な毒薬決闘が行われようとしていた。ひとりの美女をめぐっての、美青年三谷房夫と画家岡田道彦との決闘だった。決闘に敗れた岡田が“畑柳未亡人”というふしぎなことばをのこして温泉から去った後、三谷と倭文子が泊まる旅館へ、蛭田嶺蔵と名のるくちびるのないがいこつ男がやってきた。幽鬼のようなぶきみながいこつ男の魔手は、倭文子とその息子・茂少年の上に迫る! 警察の必死の追及を翻弄するバケモノ VS 名探偵・明智小五郎!
盲目の彫刻家の果てしない欲望にまみれた戦慄の物語。 狙った女性を次々に殺害し、その遺体を群集に晒す盲獣。 乱歩自身が「削除したい」と思った、衝撃の『鎌倉ハム大安売り』も収録。 他篇『妻に恋した男』『指』
推理小説界の巨匠・江戸川乱歩が、戦後、昭和30年に書き下ろしで発表した野心的大作「十字路」。伊勢商事社長の伊勢省吾は、日輪教の狂信的信者である妻・友子を嫌い、若い女秘書・沖晴美と恋愛関係にあった。晴美のアパートのへやに押しかけてきた友子を省吾は絞殺した。友子の死体をどこへ運ぶか。晴美とドライブした藤瀬ダムの古井戸が省吾の頭にひらめいた。キャディラックのトランクに死体を隠し、藤瀬へ向かう省吾は、新宿ガード下の十字路で突発事故に遭う。そのすきに車内にもう一体の男の死体が出現していた。次々に発生する奇怪な事件のナゾは?
九州の西岸にあるS市の旧家大牟田家のあるじ、子爵の敏清は、当時18歳の美女瑠璃子を妻とし、親友川村義雄と三人でしあわせな日をおくっていた。しかし、川村と瑠璃子の邪恋の犠牲となり、敏清は地獄岩から落とされた。しかし敏清は墓所の穴蔵に入れられた棺の中で息をふき返したのであった。暗黒の世界にとじこめられた恐怖は、敏清の黒髪をしらがに変えてしまった…。姦夫姦婦のために家庭を奪われ、財産を奪われた男の戦慄すべき復讐の物語!
長崎県の山に包まれた片いなかに、叔父が買い取った化け物屋敷を見に行った、青年・北川。 幽霊塔と呼ばれる不気味な時計塔のある屋敷で、世にも美しい絶世の美女と出会った北川は、彼女の虜となってゆく…。 妖しい美女と、莫大な財宝を秘めた幽霊塔の謎とは!?
影男。その正体は、速水荘吉・綿貫清二・鮎沢賢一郎・殿村啓介・宮野緑郎と無数の名をもつやせた男。さらに小説家としては佐川春泥という名で知られ、その執筆する怪奇異風の小説は世にもてはやされていた。このふしぎな男は何をもくろむのであったか。どんな人間も持っているヒミツの裏側を探求するのが影男の目的であった。連続する奇々怪々な事件。名探偵・明智小五郎の明推理はいかに。