著者 : 落合貞夫
世界文学になった村上春樹『海辺のカフカ』を知るための最新の案内書 高松在住の著者が、「海辺のカフカ」の中に出てくる高松のあちこちを訪ね歩き、なぜ村上が、高松を小説の舞台に選んだのかについて考察をしたものである。 なぜカフカ少年は四国の高松に向かったのだろうか。 カフカ少年が行った図書館、うどん屋、神社、ホテルはどこか? 高松で出会った美しい女性は、カフカ少年の母親なのだろうか? 21世紀も人間は「悪』を繰り返すのだろうか? はじめに 第1章 世界文学になった「海辺のカフカ」 第2章 日本の作家イメージを大きく変えた村上春樹 1 早寝早起き 2 マラソンランナー 3 文学賞の選考委員にならない 4 純文学とポップ・カルチャーの境界をなくした 5 公共の場に出ない 6 海外市場で大成功を収めた 7 アメリカ文学を血肉としている 第3章 村上春樹の精神形成をたどる 1 小学校低学年の頃 2 十代の頃 3 中学二年の頃 4 15歳の頃 5 大学生の頃 6 ジャズクラブを経営していた頃 7 デビューした頃 第4章 登場人物たち 1 田村カフカ 1の2 カラスと呼ばれる少年 2 ナカタサトル 3 佐伯さん 4 星野青年 5 大島さん 6 さくら 7 田村浩一 8 ジョニー・ウォーカー 9 カーネル・サンダーズ 10 岡持節子 11 ネコたち 第5章 時代背景について 1 地下鉄サリン事件 2 神戸連続児童殺傷事件 第6章 物語の基本構造 1 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』との関係 2 フランツ・カフカ 3 オイディプス神話 第7章 作風の転換と継承 1 文壇での孤立 2 自我のすっ飛ばし 3 デタッチメントからコミットメントへ 4 三人称を使った最初の長編 5 変らぬ「謎めいた物語」 6 音楽の多用 第8章 これまでの主な作品論 沼野充義/河合隼雄/加藤典洋/小森陽一/黒古一夫/川村湊 児童文学としての「海辺のカフカ」 第9章 なぜ高松へ行くのか 1 讃岐と村上春樹 2 『雨月物語』との関係 3 大江健三郎との関係 第10章 高松のどこが出てくるか 図書館/神社/神社の橋/神社の洗面所/小さな祠/コンビニ/うどん屋 ビジネスホテル/体育館 第11章 父の呪いと村上春樹 第12章 ビルドゥングス・ロマン(成長物語)としての「海辺のカフカ」 第13章 「悪」について 第14章 カフカ少年の本名は? あとがきーーノーベル文学賞の可能性 引用・参考文献