著者 : 葉山弥世
収められた四作には、どの一編にもそれとなく作者自身の影が映っていて興味深いが、読み込むと、それらが繋がって自ずからもう一つの隠れた物語を形成している。それはあたかも美しいレース編みを見るようで、私は何度も感嘆させられた。思うに、これは純真な少女時代に紡いだ物語への夢を曲げることなく育ててきた作者の情熱の賜物であろう。(文芸評論家 勝又 浩) 花に誓う そよ風に乗って めぐり会い 高原のル・スタージュ
この一冊には作者の現在がよく表れていて興味が尽きない。一途な恋に燃えた若き日の甘美な回想、七十五歳、初めて体験した入院生活から得た、自分を含めた様々な人間的発見、そして女学校の庭園に住みついた亀の物語。読者は語り手としての亀に驚くが、この亀こそは作者の思想の代弁者、もう一つの自画像に他ならないだろう。(文芸評論家 勝又 浩) 華やぎと哀しみと マイ レスト タイム オレの歳月 ─親愛なる人間たちへ あとがき 初出一覧
この一冊には、大人が楽しむ〈旅行小説〉三編とプラス・アルファー一編が収められている。そのアルファ一編が、この作者が何故〈旅行小説〉にこだわり、書き続けるのか、その隠れたモチーフを明かしていて、それにもまことに興味が尽きない。(文芸評論家 勝又 浩) 表題作「シャラの花咲く家」のほか、「その秋の日に」「チュニジアにて」「夢去りやらぬ」の4作品を収録した作品集。
一途な愛の物語 人は一途な愛に燃えているとき最も美しく輝くのかもしれない。葉山さんの小説を読むといつもそんなことを教えられ、考えさせられるが、この一冊にも純粋な愛に生きた男女の美しくも哀しい物語が集められている。それらを語る作者達意の文章は超上等なワインの味を思わせる。(文芸評論家 勝又 浩) 〈収録作品〉 ストラスブールは霧の中 二〇一六年、夏の日々 潮風の吹く街にて 墓参の日に そして、シェルターで暮らす ストラスブールは霧の中 二〇一六年、夏の日々 潮風の吹く街にて 墓参の日に そして、シェルターで暮らす あとがき 初出一覧