著者 : 西のぼる
評定所を震撼させる一大事が出来。蔵前の札差衆の訴状は、旗本と御家人に数年先の扶持米まで担保にした借金を重ねられ、堪りかねて手を引きたいとのことだった。この事態を収めたのが、江戸の商業界に君臨する大坂屋茂十郎。大きな野望を抱く茂十郎は、貧窮にあえぐ青年旗本に目を付けた。茂十郎の誘いに乗った青年旗本の許されざる行動はやがて目付筋の監視を招き…。
幕閣を前に目付衆十人、恒例の「総意」ではなく、己が信ずる理を吐露! 目安箱に入っていた建白書。幕府へ弓引く叛乱の狼煙か、はたまた善意の建議か。 侃々諤々、幕閣達の怒りと、目付衆の熱き自負と主張! 八代将軍・吉宗が設置した目安箱に前代未聞の建白書が入っていた。 幕府の農政に関するもので、見方によれば吉宗公を批判するものともとれ、幕閣は即刻処罰を訴えるが、上様から目付方に諮問があった。 十人の目付も侃々諤々、意見の一致を見ず、居並ぶ老中・若年寄を前に十人それぞれが意見を述べることに…。 己が信ずるところを語る、目付の真骨頂がここに。 ◆ 著者について 藤木 桂 ふじき・かつら 千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。 テレビドラマの企画脚本などを経て、本格時代小説に挑戦。シリーズ第一弾『本丸 目付部屋 権威に媚びぬ十人』でデビュー。
任地の上州で代官の権限を私し、年貢米を差し置いて領民たちに増産させた絹織物の売り上げを献上させ、私腹を肥やしたー。折しも新任の留役組頭の“策謀”に揺れる評定所に送られてきた代官は、新任組頭と苦闘中の古参組頭の“恩人”だった。“罠”だ。謹厳実直で名を馳せた“恩人”を救え…。元留役の結城峰太郎と次男坊の小次郎、目付・遠山景晋の息子金四郎は上州へ。
巨大異国船団が来襲!? 北九州沿岸での脅威に目付と藩が一致団結! 福岡藩、小倉藩の島々で、不審な山林伐採跡が……? 長崎奉行からの知らせに、幕府から急遽派遣される目付筆頭の遠国での活躍! 長崎奉行からの出島のオランダ商館長にキリシタンの疑いありとの報を受け、目付・稲葉徹太郎が赴く。 また商館長の蔵から盗難があったことも判明し、稲葉が探索。 そんな折、北九州沿岸に唐船出没との報せに、目付筆頭の妹尾十左衛門が急遽赴く。 敵は大砲を備えた巨船群との報もあり、近隣の藩も及び腰だった。 一方、江戸では目付を騙る者たちの悪行が横行し……。 ◆ 著者について 藤木 桂 ふじき・かつら 千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。 テレビドラマの企画脚本などを経て、本格時代小説に挑戦。本作品でデビュー。
田沼意次が失脚し、松平定信による幕政改革が始まって数年が経った。宗一郎は、陣笠の刺客に襲われていた男ーー最上徳内を助ける。その身柄を巡って、幕府と松前藩、そして蝦夷地を巻き込んだ仄暗き闘諍の幕が開く!
裏門切手番頭であり、松平伊豆守信明の密偵でもある旗本・高槻宗一郎。田沼派と反田沼派の抗争で幕政が混迷を極める中で、彼は将軍・徳川家治に奇妙な拝謁を賜る。この出会いは、更なる波乱の先触れとなるのだった!
江戸城・大奥の裏門を警護する切手番頭の高槻宗一郎は、松平伊豆守信明の密偵でもあった。主命により幕政の闇を探る彼は、白河藩主・松平定信、そして老中・田沼意次と邂逅し、権謀の深淵で己が正義を貫かんとする!
織田信長の岐阜城下にふらりと現れた男。真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、日本一と書いた旗を従者に持たせたその男こそ紀州雑賀党の若き頭目、雑賀孫市。無類の女好きの彼が信長の妹を見初めて……痛快長編。
木下藤吉郎に請われ、織田勢に荷担した孫市だったが、「信長にだまされた」と飛び出し、なんと信長最大の敵・石山本願寺の侍大将を引き受ける。信長に「尻啖わせ」、戦国を駆け抜けた快男児を活写する痛快長編。