著者 : 西尾潤
想い人が行方知れずとなり、さらには母を失くし打ちひしがれていた祭実理科。 「運命の日がくるのーー」 生前、母の八重子は一人の青年と出会ってからそう口にするようになっていた。 その青年こそ、実理科が会いたいと焦がれていた啓太だった。 母の言葉の意味を知るべく啓太を探す旅に出た実理科は、 大阪、福岡、沖縄と啓太の足跡を辿るうち 彼の隠された過去を知ることになる。 プロローグ 第一章 東京 第ニ章 大阪 第三章 福岡 第四章 沖縄 第五章 台湾 エピローグ
高齢期のパート職員が必死に働く坂田パーキングエリア。年金も医療保険もない梨元ちとせも、引きこもりの息子と暮らす古田中栄も、老骨に鞭打って働き続けるしかない。駐車場には、猫と暮らす老人、子連れのシングルマザー、認知症の母を介護する男などが行き場を失い彷徨っていた。ある日、死亡した元夫の保険金が入るかもしれないと、ちとせに連絡が入り期待をするが…。『愚か者の身分』で大藪春彦新人賞を受賞した著者が描く、車上生活者たちの絶望と、晩年を切々と生きる老女たちのシスターフッド。
日本経済新聞、産経新聞、週刊文春、 週刊ポスト、現代ビジネスほか 各メディアで紹介され話題沸騰! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 実体験をもとに 「マルチ商法」の深淵を描き切った 震慄のサスペンス! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 賢い姉、愛らしい妹に比べて自分には何もない。 夢を持てず、鹿水真瑠子は毎日をなんとなく 過ごしていた。 そんなある日、バイト先の掲示板で 不思議な貼り紙を目にする。 「磁力と健康セミナー・無料開催」 それは地獄への扉だったーー。 認めてほしい。 ただその一心で始めただけなのに、 どうしてこんなことになってしまったのだろう。 マルチ商法にハマった女性の “乱高下人生”をリアルに描く、 ノンストップサスペンス! 〜〜〜〜 著者より 〜〜〜〜 大人になっても、自分自身が未完成な人ほど、 他者に ”承認” されることでやっと 自分を認めることができます。 情報弱者であり、未熟だった私は この承認欲求地獄へとはまっていきました。 それはやがて他人を、 そして自分自身をも欺すことへと 繋がっていきます。 当時の体験と記憶を頼りに、 マルチ・ネットワークビジネスの 世界を描きました。 お楽しみいただければ幸いです。 西尾潤
第二回大藪春彦新人賞受賞作! 今野敏氏「秀逸なラスト」 馳星周氏「突き抜けた何か」 選考会にて両選考委員激賛! 戸籍ビジネスの闇に蠢く半グレを描いた 新時代のクライム群像劇! ================ 身寄りなし。 身分証なし。 金なし。 そんな優良人物をSNSを駆使して 探し出すのがマモルの仕事だ。 狙うは戸籍。 女性を装い言葉巧みに 相手の個人情報を引き出して、 売買が成立すれば報酬をもらえる。 ある日、マモルは上司から 不可解な指示を受けた。 タクヤと距離を置け。 自分にこの仕事を紹介してくれた先輩に、 なにが起きたのか。 翌日、タクヤの部屋の掃除を命じられた マモルが見たのは、 おびただしい数の血痕だった。 もう、タクヤはこの世にいない。 悲しみにくれるマモルに 一通のメールが届いた。 それは、タクヤからのメッセージだったーー。 === 【作者より】 受賞作の短篇に、その先の物語と背景を描いた 書下しの長篇です。 舞台は東京。 闇ビジネスを背景に、登場人物それぞれの 浅はかな「愚かさ」を書いてみました。 ある者は運命的に。 ある者はちょっとした弾みで、 意識のないまま犯罪に手を染めていきます。 そんな「愚か者たち」のお話です。 西尾潤