著者 : 西島大介
新左翼の伝説的指導者、藤堂蒼子が逮捕された。押収された七枚の写真には、「L資金」の融資条件である「ルーシー7」が写し出されている。捜査官・笹山徹が、深夜のアジアの都市に潜む危険な人脈を追った先で浮かび上がったのは、子供たちを街に消し去る笛吹き男の都市伝説、あるいはアメリカ統治に入る驚くべき日本の運命だったー。雑誌連載後、未刊行のまま20年近く放置された小説版『多重人格探偵サイコ』最終章。陰謀論に満ちた現代社会を抉り取る「ゼロ年代で最もイカれた小説」が不意打ちで単行本化!
元社畜の“僕”は空きっ腹を抱え、廃墟と化した池袋界隈をさまよっている。事の発端は割のいい治験バイトだった。まさか投薬されて25年も眠ってしまい、その間に文明が崩壊しているなんて…。街は異形のモンスター犬や殺人ドローンが行き交う即死地帯。頼れるのは、携帯端末に搭載されたAI“クオヴァディス”だけ。この世界で僕が生き延びる手段として、クオヴァディスは『生存戦略』という謎のアプリを起動させた。これが、スキル生成にもLvアップにも大量のカロリー=食べ物を必要とし、余剰カロリーが底をつくと死に至るというあんまりな仕様でー!?
もしも、あなたが困っていて、助けを必要としているのなら、窓や玄関、門など目立つところに銀色のリボンを結んでおくといい。優しい魔法使いが助けてくれるかもしれないからー。黒い髪に黒い瞳。けれど肌は真っ白で、唇は珊瑚色。まつげが長く、鼻が高い…まさに人形のような顔立ちの少女、シャルロット。オンボロアパートに住む冴えない大学生・保科優一の隣室に引っ越してきた、「魔法使い見習い」と名乗る彼女を巡る、ちょっと不思議で心温まる物語。
わたしの名前はヒメ。家族はわたしを「犬」と言う。でも「犬」って何?飼い主一家に愛されず、孤独に日々を過ごすスピッツ犬のヒメ。流星群の夜、不思議な石を舐めて驚く程の知能と人の言葉を得た彼女は、一家の末っ子、雅史を支配下に置いて…。飼い犬たちの暴走、町に響く遠吠え、巨大な犬の影、そして続発する猟奇殺人。史上最高にキュートでおぞましい「犬のカリスマ」ヒメ登場。彼女が命を懸けて欲したものとは…。
全てに無気力な20代無職の「私」は、ある日海岸で小さな蟹を拾う。それはなんと人の言葉を話し、体の割に何でも食べる。奇妙で楽しい暮らしの中、私は彼の食事代のため働き始めることに。しかし私は、職場でできた彼女を衝動的に殺してしまう。そしてふと思いついた。「蟹…食べるかな、これ」。すると蟹は言った。「じゃ、遠慮なく…」。捕食者と「餌」が逆転する時、生まれた恐怖と奇妙な友情とは。話題をさらった「泣けるホラー」。第20回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。
飼い主一家に虐げられ、辛い日々を過ごすスピッツ犬のヒメは、流星群の夜、庭に落ちた不思議な石を見つける。美しく甘いその石を舐めた彼女は、なんと人間の言葉を話せるようになる。「わたしはきっと、世界で一番、賢い犬」ヒメは言葉巧みに、家族を思うままに操り始める…。一方、動物の殺処分を担当する施設で働く獣医師の小高は、犬たちの変化に気づく。まるで「クチコミ」で、自分たちの死を知ったかのように、態度を変える犬たち。そして…。二つの物語が重なるとき、前代未聞の、犬と人のサバイバルゲームが始まる。