著者 : 西田俊也
思わぬきっかけから、初恋の告白を撮ったドキュメント映画を中学の文化祭で上映することにした雄也たち。10年後、あのときの『初恋シネマ』をもう一度見たいという仲間からの頼みで、雄也は所在不明の映像を探し始める。中途半端に終わった恋の告白や自身の青春と向き合うため、胸に秘めていた初恋相手と再会したとき、何かが変わっていく。誰の胸にも訪れる初恋の嵐と後悔日誌から、大人への扉は開くのか、青春感動ストーリー。
15年前に伝えられなかった想いー大人になれない僕等はいま、あの日を取り戻すために走り出す。ままならない現実に落ち込む中、中学の旧友と再会した雄也は、文化祭で上映できずに心残りとなった告白映画「初恋シネマ」を完成させようと決心するが…。後悔ばかりで情けない29歳が昔の仲間たちと新たな人生へと立ち上がる、号泣必至のノンストップ・ラブ・ストーリー!
お笑い芸人のミナミは、ここ数年ですっかり人気も落ち、今はホテトルの運転手をして暮らしていた。年末のある日、以前、ホテトルで窃盗の嫌疑をかけられ、ミナミに助けられた京子が、お金を返しに来た。ちょうどその頃、お笑い学校の同級生だった友人から仕事の依頼が来ていた。稚内の老人ホームの年越しイベントで漫才をやらないかというのだ。断るつもりだったミナミだが、京子が正月に帰るところがないと聞き、最後の舞台をみせようと、京子を北海道へ誘う。自殺未遂をしたばかりの元相方・サカイ、そしてミナミの父・ハツオも同乗し、4人を乗せた車は27日朝、大阪を出発する。それぞれの思いを乗せ、北海道・稚内をめざして、爆走する車。名古屋〜東京〜仙台と、行く手に待ち受けるさまざまな事件を乗り越え、果たして、大晦日、忘れられた漫才師は、最後の舞台に立つことが出来るのか。
父さんは一流の商社マン。母さんは街いちばんの進学塾の経営者。おかげで丘の上に金ぴか御殿の家が建った。私立の試験に落ちたから、近所の公立中学でイジメられてる。机は毎日クソまみれ。父さんがひろってきた、ブルドッグのジャンクは、ボディガードの役には立たず、女同士のイジメにもむかつく。学校もクズ。家もクズ。いったい、オレにどうせえいうねん。
オレ、この手紙を読んでいるときって、28歳やろ。28歳ってどんな感じや?考えようとしたらツマ先がちょっと上がって、見上げるような感じになる。オレは10年後のオレに今のオレのことを教えてやる。オレがどんな生活をして、どうやって毎日を過ごし、どれくらいのことを考えているか、ここに書く。オレはオレやから、オレはオレのことを忘れるわけないけど、たとえば8歳のオレがどんなことを考えていたのか、ほとんどわからなかったりするから、オレはオレのためにきちんと書き残しておいてやることにする。-卒業を間近にひかえた高校生の日常をユニークな文体で描く、魂の冒険物語。
10年前に引っ越していった幼馴染みのタクマくんが、あたしの高校に転校してきた。ピアノがバリバリに弾ける彼はバンドを結成しようと人集めに動き回り、あたしにも声をかけてくれた。彼と一緒にいたいという一心で、歌には全然自信のないあたしだけどヴォーカルとしてバンドに参加。だけどタクマくん以外のメンバーは、あたしと似たりよったりの実力。このバンド、どうなることやら…。
オレ、りえちゃんのこと好きなんだよーそう告白してくれたのは同級生の松田くん。あたしは、目をそらし、うつむくしかない。だって、あたしには、大好きな彼がいるんだから。もうすぐいく修学旅行で会えることになってんだから。あたしたちのことは秘密だけど。なぜって、あたしの彼は、星崎直樹。そう、あの有名なアイドル。だから、松田くんへの答えは決まってる。でも断れなくて…。
彼は17歳。あたしよりひとつ上。そして…彼はアイドル。歌に映画に活躍している。ふとした間違い電話がきっかけではじまった恋。でも、アイドルとつきあうのって楽じゃない。いろんな邪魔が入ってくる。味方は、親友のさよこ。そのさよこと、今、あたしは新幹線に乗ってる。彼の東京ドーム・ライブを見るために…。しかし、彼の事務所には当日、会場を爆破する予告電話が入っていて…。
トゥルルルルー真夜中のベルは不吉な知らせ。それとも素敵な夜の王子からのラブコール。電話の声は心地良い音楽のように弾んでる。雨上がりのダンスみたい。間違い電話とわかっても、あたしは受話器をおろさなかった。そうして、ふたりの恋ははじまった。恋はまるでレモンドロップス。ちっぽけだけど、ザラじゃない。はじめはちょっとすっぱいけれど、そのうちだんだん甘くなる。そしてー。
バラの匂いのするウチカワくんは、500kmも離れた町に転校していった。スズコはそれが哀しかった。彼女は大人たちが忘れかけたなにかを大切にする女のコ…バラモンは、そんなスズコが大好きだった。ある日、スズコの家の電話機が突然話しだした。「オイラの名はバラード。ヨロシク」それにつられるように、身のまわりのものたちがいっせいにしゃべりだした。なにかが起こり始めたのだ。