著者 : 谷みき
お芝居はいやお芝居はいや
19歳のファラは父親が会社の金を使い込んだことを知り、父親の勤め先である新聞社のオーナーのもとへ駆け込んだ。「父は病気の母のためにやってしまったんです…お願いです、父が刑務所に行かずに済むのなら、私はなんでもします!」必死に訴えるファラを、若き敏腕経営者のジョエルは興味深そうにじっと見つめていたが、やがて口を開いた。「それなら、僕の恋人を演じてくれ」彼は淡々と説明した。新しい恋人ができたふりをして、今の恋人と別れたいんだ、と。そんなお芝居、私にできるの…?ファラは不安におののいた。
雨上がり雨上がり
雨は休むことなく降り続け、今朝、メラニーは父の葬儀を終えた。実業家の父のあまりにも突然の死。そのせいでメラニーと老いた祖母には、屋敷しか残されなかった。しかも、不幸に追い打ちをかけるように、ジェイソンと名乗る、精悍な面差しをした大富豪が現れたのだ。不安におののくメラニーに、彼は憐憫の目をむけながら告げた。君のお父さんに、家を担保に多額の融資をしていた、家を失いたくなければ、君の身を僕に差し出すしかないと。余命わずかな祖母のためにも、メラニーはうなずくしかなかった。
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