著者 : 谷甲州
本土への戦略爆撃を狙う米軍四〇〇機の撃退に成功した日本軍。勢いのままにマリアナ諸島攻略を狙うも、米軍のP61“ブラックウィドウ”の奇襲により、零式艦戦隊は壊滅した。一方、秋津大佐らの終戦工作は最終段階へ迫る。終戦の鍵を握る蒋介石との面会を図るのだが、上海では思わぬ事態が待ち受けていた。作戦が佳境に向かう最中、厚木基地には飛行機乗りたちが集められる。彼らが搭乗するのは「飛龍」と、旧式化した「零戦」など寄せ集めの実験中隊。P61撃滅の策を授けられた搭乗員たちは、硫黄島へと向かうー!
『コロンビア・ゼロ』に続く「新・航空宇宙軍史」シリーズの第2弾。SFマガジン掲載の「スティクニー備蓄基地」「イカロス軌道」「航空宇宙軍戦略爆撃隊」「亡霊艦隊」「ペルソナの影」の5篇に書き下ろしの「工作艦間宮の戦争」を加える。
月の地下交通トンネル、火星の与圧ドーム、水星の射出軌条、木星の浮遊工場…太陽系の開発現場で前例のない事故が起こるとき、最悪の危機を回避するために知恵と勇気で立ち向かう現場の技術者たち。驚愕のラストが待つ、宇宙土木シリーズ全七編。表題作で第45回星雲賞日本短編部門を受賞。
第三〇二航空隊の夜間戦闘機「極光」は駿河湾にてB29と交戦。日中の高高度という不利な条件下ながら、空中雷撃による敵機の撃退に成功した。一方、上海の日本軍海兵隊司令部に中華民国政府高官・閻烈山将軍が接触を求めてくる。日本の存亡に関わる重要機密を知るという彼の目的とは? 緊迫する世界情勢の中、厚木基地を発進した艦上偵察機「彩雲改」が敵信を傍受。戦略爆撃を狙う米艦隊の偵察に踏み切るが、そこに新たな敵影が……。戦局はいよいよ佳境へと迫る!
圧倒的な軍事力で太陽系を制していた航空宇宙軍と、独立を求めた外惑星連合とが戦った第1次外惑星動乱の終結から40年。太陽系各地では新たな戦乱の予兆が胎動していた。タイタンのザナドゥ高地を再訪した退役大佐の思惑、伝説の巡洋艦のサルベージを依頼された男、そして木星大気圏を航過する謎の未登録船ー第2次外惑星動乱の開戦までを描く全7篇を収録した、宇宙ハードSFシリーズの金字塔、22年ぶりの最新刊。第36回日本SF大賞受賞作。
第1次外惑星動乱終結から11年、太陽系に急接近する人工物体、射手座重力波源(SG)を探査するため、航空宇宙軍は観測艦ユリシーズを派遣する。だがそこで艦長のロックウッド大佐が見たのは、汎銀河連合により滅亡の淵に瀕した人類のヴィジョンだった。同乗する作業体Kは、過去に干渉してユリシーズを救おうとするがーシリーズの集大成たる長篇『終わりなき素敵』全篇を収録する“航空宇宙軍史・完全版”第5弾
圧倒的な軍事力で太陽系を制していた航空宇宙軍と、独立を求めた外惑星連合とが戦った第一次外惑星動乱の終結から四十年。タイタン、ガニメデ、木星大気圏など太陽系各地では、新たなる戦乱の予兆が胎動していたー第二次外惑星動乱の開戦までを描く全七篇を収録した、宇宙ハードSFシリーズの金字塔、22年ぶりの最新刊。
月の地下交通トンネル、火星の与圧ドーム、水星の射出軌条、木星の浮遊工場…太陽系の開発現場で前例のない事故が起こるとき、現場の技術者たちは知恵と勇気で立ち向かう。ハードSFファン待望の“宇宙土木”シリーズ、第1話「コペルニクス隧道」が発表されてから四半世紀を経て、大幅改稿とともに誰も想像しえなかった驚愕の書き下ろし最終話を得て、ついにその壮大な物語が全貌を現す。
海底に眠る「日本」の遺跡が慰霊祭で映し出される。日本列島が海の底に沈んでから二十五年がすぎていたー。国土を失った日本人は、パプアニューギニアやカザフスタンなど世界各地に入植していたが、現地の人々との軋轢もまた厳然と存在していた。一方、中田首相を中心とした日本政府の研究グループは国の復興のために、あるプロジェクトを密かに進めていた。旧日本海上に広大な人工島を建造する計画ーだがそれは中国や北朝鮮など、周辺国との利害対立を生むものだった。四〇〇万部ベストセラーの刊行から三十三年の時を経て、ついに描かれた衝撃の続編。
日本列島の沈没は、単なる前触れにすぎなかったー。断続的な冷害に襲われ、深刻な飢饉に見舞われていた北朝鮮に、中国が軍事侵攻した。日本列島の物理的消失により、東アジアの気象が大きく変動し、その影響も拡大していた。日本政府は、もうひとつのプロジェクトー日本人の技術を結集した全地球の環境予測システム・地球シミュレータの実用化に乗り出す。皮肉にもそこにシミュレーションされたのは、地球全体を「新たな異変」が呑み込もうとする悪夢のような内容だった。この地球の未来をも予測し、全人類に警鐘を打ち鳴らした世紀のSF巨編、堂々完結。
動物生態学者・朝倉は、ハヤブサ科の鳥、チョウゲンボウの群れの渡りを追跡している際に、通常ありえない高度を飛翔ルートに取る異常行動を観測した。朝倉は、このことからある仮説を導きだし、その仮説を裏づけるような異変が報告されはじめる。それは単なる動物の異常行動ではなく、地球の命運を左右する凶変の始まりにすぎなかった。人類の生存を賭けた熾烈な戦いを描いて、人間存在の根源に迫る、究極のハードSF。
異変をめぐる戦いは、地球の広範囲におよび、やがて宇宙規模へと拡大していった。人類は、さらに苛酷な戦闘を強いられることになる。地球人類がかつて直面したことのない、恐るべき脅威とは?来たるべき人間の未来を指し示す、黙示録巨篇。
外惑星連合軍と航空宇宙軍の壮絶な闘いが終結した。外惑星連合軍にとって、はじめから勝算の見込みの薄い闘いではあったが、やはり兵士たちにとって敗れたショックは大きかった。戦後処理のため敵軍が敷設した宇宙機雷処分の命を受けたガニメデ宇宙軍所属の掃海艇CCR-42の艇長・田沢も例にもれなかった。その田沢に対して、厳重に機雷封鎖された木星の小衛星に設置された研究所のデータ回収が言い渡されたが…。
失敗した遠征から帰国した登山家滝沢は、得体の知れない男からマナスル登頂を目指す登山隊の隊長になってほしいと依頼を受けた。素性の判らない人間と組む気はない、と断わる滝沢をその男は脅迫し、彼に無理矢理隊長を引き受けさせてしまう。やがてカトマンドゥを出発した登山隊だったが、その一隊はどこか不自然だった。じつは彼らは登山隊に偽装したチベット・ゲリラの一部隊だったのだ。しかも荷物の中には銃まで隠し持っていた。彼らの目的地がマナスルでないことは明らかだった。彼らの目的とは。
極道の世界を取材中のルポライター。吉岡は、相沢組の組員・門脇が、工藤組の顧門・沼田を私刑にする現場にいあわせた。門脇は、沼田の愛人・玲子をも手に入れるが、組の幹部・杵島と対立を深めた。そんな折、吉岡は、玲子の夫・神崎史朗から相談をうけ、玲子の生いたちを知らされる。そして、玲子のマニラへの逃避行。吉岡はその後を追った。マニラで吉岡を待ちうけていたものは…。書下し長篇冒険小説。
外惑星連合軍が劣勢を挽回するために投入した唯一の正規巡洋艦サラマンダー。しかし急造艦の宿命か、エンジンは不調を訴え応急修理を必要としていた…。決死の作戦行動の後、次第に追いつめられていく巡洋艦サラマンダー。それを追う航空宇宙軍艦隊。両者の息づまる戦いを描いた表題作、及び「サラマンダー追跡」木星系最外縁の衛星基地での外惑星連合軍による総力を挙げての迎撃作戦を描いた「アナンケ迎撃作戦」イオの低高度軌道観測衛星アルゴスー3で生じた悲劇「最終兵器ネメシス」など、第1次外惑星動乱末期の戦いを描いた4篇を収録。