著者 : 赤井三尋
大正11年に来日したアインシュタイン博士が肌身離さず大切にしていたバイオリンが盗まれた! 騒ぎにならないように取り戻してほしいという博士の依頼に、招聘元の改造社が白羽の矢を立てたのは早稲田大学の等々力教授。博士とも意気投合した天才言語学者の推理が冴える。『ジャズと落語とワン公と』を改題。 アインシュタイン、幣原喜重郎、柳家金語楼。彼らの危難に天才言語学者が挑む! 世界大戦による好景気、デモクラシーの勃興、関東大震災、モダンな都市文化の隆盛……大変貌を遂げる帝都を学者探偵が縦横無尽に駆けめぐる。 『翳りゆく夏』の著者が描く傑作歴史ミステリー 面白いことに、「銭形平次」や「人形佐七」など江戸時代を舞台にした捕物帖は一つのジャンルとして定着しています。ところが、江戸時代以前を舞台としたミステリーは、かなり少ない。 おそらく、ミステリーは江戸後期のように、文化が成熟し、社会が安定している時代背景と、なじみがいいのでしょう。 そう言った意味でも、大正はデモクラシーとモダン文化が開花した、ミステリーにふさわしい時代だったと思うのです。--「文庫版あとがき」より 大正11年に来日したアインシュタイン博士が肌身離さず大切にしていたバイオリンが盗まれた! 騒ぎにならないように取り戻してほしいという博士の依頼に、招聘元の改造社が白羽の矢を立てたのは早稲田大学の等々力教授。博士とも意気投合した天才言語学者の推理が冴える。『ジャズと落語とワン公と』を改題。(講談社文庫) プロローグ 秋の日のヴィオロンの溜息 蛙の水口 ジャズと落語とワン公と 文庫版あとがき
戦前の大阪。瀬戸俊介は、両親を破産させ甘言で妾にした姉まで死に追いやった新興財閥総帥の灘尾儀一郎の殺害を誓う。偶然知り合った町工場主の春日は、自分の裏稼業は詐欺師だと明かす。「殺すな、かたきは取ってやる」。俊介の全財産で雇われた詐欺師たちは灘尾財閥破綻に向け、壮大な詐欺を仕掛け始める!
詐欺師たちは当主の儀一郎に反抗して解任された灘尾電機の元社長を仲間に引き入れ、財閥本社の電話交換嬢を騙して抱き込む。用意した餌は、海軍に食い込みを狙う灘尾が渇望する最新軍事技術。特高警察・検事局・海軍技術研究所が交錯し、クライマックスの京都帝国大学へ。痛快コンゲーム・ミステリー長編。
バーチャル空間に生き続ける人格が独り歩きを始めたとき、人類未体験のパニックが社会を襲う-最先端のコンピュータ科学の暴走に立ち向かったのは、高僧の鋭い直観と、いとけなき幼女の健気な意識だった。乱歩賞作家・赤井三尋が放つ、近未来の戦慄!名作「翳りゆく夏」から五年、満を持して世に問う渾身の書き下ろし長編小説。
「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに“封印されていた真実”をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。