著者 : 道具小路
汽水域の人魚(1)汽水域の人魚(1)
かつて「ぼく」ではなく「わたし」だとカミングアウトしたことで、傷ついた慎太郎。心の中だけで『ゆき』として生きるようになった慎太郎が出会ったのは、死に別れた恋人の骨を探す女性ナシャル。彼女は恋人に正体を明かせなかった後悔で、海に戻れない人魚だった。本当のことは、誰かを傷つけるし、傷つけられる。好きなひとへの想いも隠し、『慎太郎』として生きていくと思っていたけれど…。『ゆきも、あなたのうみを、およいでね』痛みを抱え、それでも前に進む出会いのものがたり。
ひび割れから漏れるひび割れから漏れる
「私、雷に打たれたいんだよね」僕の隣で、千歳さんがそう呟いた。いつも制服の下にハイネックのシャツを着ている風変わりなクラスメイト。彼女に頼み込まれてこの夏、雷を“落とす”ための避雷針作りを手伝わされることに。何でもなかったはずの僕の日常が、彼女によって少しずつ彩られていく。きっと、千歳さんは何かを隠している。それでも千歳さんと一緒にいたくて、ずっとこんな日が続けばいいのにと思っていた。彼女の“ひび割れ”にも気づけないまま…。ゆっくりと進む恋と痛み。少年と少女が“心”を見つけるひと夏の物語。II Vクリエイターアワード“小説部門賞”受賞作。
京都ぽんぽこ着物修繕帖京都ぽんぽこ着物修繕帖
たぬきときつねが人に化けて暮らす京都。たぬきの依頼を受けた静は、神様の着物修繕を請け負うきつねの呉服店へ潜入することに。修繕を通して神様の悩みを解決するうちに、静が引きずっていた過去のトラウマも徐々に癒えていくがー。ご縁や想いを紡ぎ直す、ハートフルストーリー。
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