著者 : 邦光史郎
柴田勝家を滅ぼし、お市の方の三人娘、ちゃちゃ、お初、お江の身柄を預かった秀吉は、天下人への地歩を固める。やがてちゃちゃを自らの側室に、お江を政略結婚の道具にしながら、豊臣政権の永続に心を砕く。佗び茶の創始者である千利休は、職田信長に次いで秀吉の茶堂も務め、天下の大盛事・北野大茶会を仕切るなど、諸大名との間を取り持つ存在として政権に重きをなす。二人を軸に描く絢爛戦国物語。
明治という時代を背景に、わが国の海運の礎を築いた英傑ー名を岩崎弥太郎という。土佐の郷士の家に生まれ、たいした役にもつけない身分や役に立たない学問に失望し、入牢の憂き目にあうなど、荒れた青春時代を送った。安積艮斎、吉田東洋らのもとで学び、後藤象二郎の知己を得、坂本龍馬と交流し、長崎の土佐商会の実権を握るようになる…。嫉妬やコンプレックスをばねにしながら、三菱財閥の基礎を築いた巨人、波瀾万丈の大河ドラマ、堂々の開幕。
江戸・元禄の世に彗星のごとく現れ、一代の栄耀を振りまいて歴史のかなたに消えた伝説の男・文左衛門。暴風雨をおして蜜柑を江戸に運び、巨利を手にするや、幕吏に近づき公儀御用達の金看板を手にする。江戸の華・火事を目当てに材木を買い占め、上野寛永寺建立を請け負ったその富の高しれず。しかし吉原に豪遊する文左の心は晴れなかった。野望と冒険に生きた、一代の豪商の生涯を描く傑作時代長篇。
群雄割拠し、非道罷りとおる戦国時代。血腥い争乱の世に、天下統一の凱歌を奏したのは、今川でも武田でもなく、冷酷な将・織田信長であった。桶狭間を血に染め、比叡山を炎の地獄絵図に変えた男…だが、信長の背後には、彼を操り世を乱す怪しの幻術師・修羅丸がいた。かつてなき烈しい戦時を生きた梟雄たちと、夢幻の人世を描きだす、著者会心の大河小説。
鎌倉時代も末、都では皇統が2つに分裂、皇位継承を争って権謀術教がめぐらされ、機に乗じて公卿世界への介入を企む幕府と、それに反撥し討幕の意志を鮮明にする宮方の、鋭い対立が表面化していた。一方、河内の土豪・楠木多聞正成は、父・正遠に従い横暴を極める荘官襲撃に赴くが、隣国の土豪・当器氏の騙し討ちにあい、父は死亡、領地も奪われ、捲土重来を期して都へ逃れていた。傑作歴史長篇。
皇統分裂と、機に乗じて介入を謀る鎌倉幕府。宮方に志を寄せる正成だったが、陰険な公卿社会を嫌って河内へ戻り、ひたすら兵力の備蓄に努めていた。やがて宿敵・当器一族を滅ぼし河内を収めた正成は、元弘元年、後醍醐帝笠置山に篭るの報に接するや直ちに本拠赤坂城に挙兵、笠置に向う鎌倉方数万の精鋭を迎え討った…。一代の英傑・正成の出自とその天才的な軍略家像を活写した傑作歴史長篇。
昭和20年11月、中内功は地獄のフィリピン戦線から帰還した。全国に闇市が乱立する戦後の混乱期、功は神戸で薬局を営む父を伝い、次第に商売の魅力につかれてゆく。独立して店を持ちたいと思いたった功は、当時アメリカで流行していたスーパーマーケットに目をつけ、念願のダイエー1号店を大阪・千林に開店。型破りの商法で、次々と店舗をふやしてゆく…。中内功の半生をダイナミックに描いた異色長篇。
霊能力を持った少女は日の神子=神の妻に選ばれた。神の妻は未通女でなくてはならない。激しく揺れ動く女の本能に翻弄されながらも、少女は乱世を治め、強大な王国の権力者にのしあがってゆく。巫女王ヒミコの神秘的な魅力と謎を描く一大長編ロマン。
ヤマトを中心とする諸国を統率するヒミコ。しかし、常に侵略者の陰はつきまとう。神の妻であることを心の支えに、難敵に立ち向かい、タミを治め、巫女王の地位を確固たるものにしてゆく。そして、やがては異境の地にも目を向けることになる。“まぼろしの女王卑弥呼”の実像に迫る古代歴史小説。
〈サントリー魂〉は、いかにして醸成されたか。“やってみなはれ”と、前進また前進を続けた創業者鳥井信治郎。“やらせてみなはれ”と、新しい事業展開に挑む後継者佐治敬三。洋酒から生活文化事業へ、男たちの果てしなき挑戦の物語。
永禄3年、激しい戦いの末、飯盛山城を落城された三好長慶は、城内で女陰に男根を挾み込んだまま吊されていた若い裸女の無残な死体を発見した。しかも腹部には“八百比丘尼”という謎めいた血文字が記され…。800年もの間眠り続けているという伝説の美女ー八百比丘尼に崇られた三好一族の悲惨な末路を描く『比丘尼草子』他傑作時代ホラー小説集。
ホーム電業の影近三兄弟。長兄は社長、次弟は副社長、末弟の宗佑は常務で、アメリカ現地法人の社長をしていた。独身の宗佑は、秘書と恋仲になり、「自分が死んだら会社の株を100株贈与する」という遺書をつくってやった。数日後、女は消え、彼は謎の転落死を遂げた!?ベストセラー『十年後』の著者が、恐怖の企業買収社会の到来を予見!