著者 : 酒井洋子
最初に受けもった生徒たちが卒業すると、ルアン先生の心はカラッポになった。持てる力のすべてを捧げてきたので、自分の情熱さえも消滅する気がした。そんなある日、緊迫する事件が連続する。ある生徒は殺してやると叫ぶ男にピストルで狙われ、ある女生徒はセックスシーンをヴィデオに録られて恐喝される。疲労と緊張のきわみのなかで、ルアン先生は事態にどう立ち向かうのか。映画『デンジャラス・マインド』原作の続篇。
エイプリルは36歳、ボストンの高校でラテン語を教える才媛-男にはあまり縁がない。バーニスは53歳、TVの有名キャスター-男性遍歴はちょっと華麗。この2人が、ある日突然親子になった。かつて、バーニスは赤ん坊のエイプリルを養子に出し、今になって実の母親として名乗り出たのだ。知的で自立志向のエイプリルは、急に現われたど派手な母親に「見つけてほしくなかった」と反発し、バーニスはデートの相手もいない娘が歯がゆくてしかたがない。おせっかいを焼かれているうちに、反動もあって、エイプリルは誰にも振り向かれなかった一人の地味な男に目をとめた。高校の図書室の司書ドワイト-。ところがこれが意外に味のあるいい男で、二人は思いがけず甘い関係に…。まったく個性の違う母と娘の、真剣だがコミカルな葛藤、エイプリルとドワイトの微笑ましい大人の恋…。『恋をしては失って』に続く都会の大人たちの愛情物語。
白血病という不治の病にもかかわらず、大金持ちの青年ヴィクターは才気にみち、生き生きとしていた。健康そのものの美しい娘ヒラリーは、隠遁生活をおくる彼の看護をするうち、自分にはない知性とエキセントリックな魅力に惹かれ、彼の愛人になった。だが一方で、彼女を求めるごく普通の健全な若者とも恋におちる…。潮風が吹くボストン近郊の海辺の町を舞台に描く、痛切な愛の三角関係。アメリカ文壇の新星が放つ話題作。
現代のアメリカをあざやかに映し出す、16の恋愛短篇。ほんのり甘いのも、やるせなく苦いのも、ユーモラスなのも、深刻なのも。ボストンとその周辺に展開する大人の恋の駆け引きは、ウィット豊かで、意外に純情で、そして優雅な色気が漂う。