著者 : 野村美月
居場所をなくした少女は図書室で黄金に輝く本に出会った。それは、地獄へ続く門だったー中学生の清良は図書室登校をしている。他人の大声や暴力的な言葉が怖くて、教室に入れなくなってしまったのだ。けれど静謐で穏やかだった図書室も最近すこしおかしい。生徒の集まるネット掲示板に不穏な噂話が書き込まれ続けているのだ。特に“ダンテ”の発言は過激で、皆がその話をするようになっていた。そんなある日、清良は同じ図書室登校だという眼鏡の少年と出会う。しかも彼は本と話せると言い、黄金の『神曲』を紹介してくれるのだけれどー。“本の味方!”榎木むすぶが繋ぐ本と人のビブリオミステリー第2弾!
仕事も恋愛もぱっとしない岡野七子がたどり着いた、住宅街の洋菓子店「月と私」。そこには、お菓子にまつわる魅力的なエッセンスを引き出して、物語としてお客に届ける、「ストーリーテラー」語部九十九がいたー。さまざまな悩みを抱えてお店を訪れた人たちは、語部の語るストーリーと、美しいシェフの作る極上のお菓子に心解きほぐされていく。人生を変える物語をどうぞ。ワケありストーリーテラーと美しいシェフとお客が織りなす、疲れた心に甘くやさしく沁みわたる連作短編集。
店主の急死により、閉店フェアをすることになった幸本書店。そこに現れたのは、故人の遺言により幸本書店のすべての本を任されたという都会から来た高校生・榎木むすぶ。彼は本の声が聞こえるという。その力で、店を訪れる人々を思い出の本たちと再会させてゆく。いくつもの懐かしい出会いは、やがて亡くなった店主・幸本笑門の死の真相へも繋がってゆくー。“本の味方!”榎本むすぶが繋ぐ本と人のビブリオミステリー。
夏祭り花火の目玉“虹のエール”三百玉が消失!現場には、『ごちそうさまでした』と書かれた、犬の足跡つきの紙が…!事件に遭遇した大学生の春近は、どんな謎もきれいにしてくれるひまりさんに相談を持ちかける。電話ボックス落書き事件、町のアイドル・図書館王子の恋心、傷ついた少年の秘密ー晴追町の優しくも不思議な事件を、春近は彼女と解決に乗り出すが…?
交際していた男性のプロポーズを、私、ミナ=アリス・原田は「父を置いていけない」という理由で拒絶した。私が五歳のときに死んだことになっている父、原田詩也は、不老不死の吸血鬼だ。母と出会い、恋に落ち…けれど母は、父のそばにはいられなかった。だから私が、ずっとそばにいる。そのために私はある決意をした。父を置いていった母に、負けたくなかったー。運命と別離、超克、そして永遠の恋。娘の視点から綴られる、ある吸血鬼の過去と現在の物語。
心に傷を抱えた大学生の春近は、眠れない冬の日の深夜、公園に散歩に出かけた。「二月三日は、『不眠の日』です」。そこで彼に話しかけたのは、ひまわりのような笑顔を浮かべる、人妻のひまりさんだった。もふもふの白い毛並みのサモエド犬・有海さんを連れた彼女とともに、晴追町に起こる不思議な謎と、優しい人々と触れあううちに、春近はどんどんひまりさんに惹かれていき…。