著者 : 金子わこ
海狼海狼
戦後1年、混乱をきわめる下関近郊の海岸に血まみれになった一人の男が密かに上陸する。朝鮮の新聞を騒がせた伝説の動物・海狼(シー・ウルフ)の正体だった。男の名は高橋健司、ふるさとで待つ母に会うため、ソ連軍が押し寄せた「満州」から逃げ延びてきたのだ。だが、男は重要な「機密」を握っていたため、ソ連軍だけでなく米国からも追われていたのだ!日本を舞台に、「海狼」をめぐり三つどもえで争う、米軍、ソ連諜報部、日本警察。高橋は、しだいに追いつめられ、やがて故郷・熱海の近くの真鶴岬へ向かう。そこで待っていたものは…。米ソ冷戦に巻き込まれた、日本憲兵の逃亡と悲恋のドラマ。
PREV1NEXT