著者 : 金承ギョク
金承ギョクの小説は、韓国文学の伝説になってしまった。 1960年4月19日の事件が、2017年キャンドル革命の精神的支柱になったように、金承ギョクが火を点けた感受性の革命は韓国短編小説の礎石になったのだ。 1 1960年代 正直者たちの月(1963年) クリスマス・プレゼント(1965年) 手術(1965年) 指に目がついた女(1966年) 暮らしを楽しむ心(1967年) 夕食(1967年) 2 1970年代 ウンマ物語(1970年) 天日と埃の遊び場(1970年) D・π・9記者のある日(1970年) 水族館(1972年) 妻の体(1973年) 危険な年齢(1975年) 愛が再び出会う場所(1975年) 3 1980年代〜 真夜中の小さな風景(1980年) 生きるということ(1980年) スギの烏(1980年) ある結婚の条件(1980年) 日の光(1980年) キム・スマン氏が身代をつぶした来歴(1981年) 偽物と本物(2014年) 4 エッセー 私が会った神様(2004年) 解説 キム・ハクチャン 訳者あとがき 青柳優子
本邦初刊行。金承ギョク自選短編集。 朝鮮戦争停戦後李承晩大統領が権力を掌握し続ける中、1960 年にはそれま での政治の腐敗に憤って立ち上がった学生によって4・19学生革命が大統領の下野というかたちで成功する。しかし、翌年5月には軍事クーデターが起きて軍事独裁政権に。政権に批判的な人士はスパイ・容共主義者の烙印が押されて連行され、過酷な尋問に苦しめられることも多々あった。 厳しい軍事独裁政権を生きぬいた秘かな芸術的抵抗としての代表作『ソウル1964 年冬』。これこそ、金承ギョク文学の特徴であり特筆すべきものである。本邦初訳の6作品と新訳の3作品を収める。 1.ヤギは力が強い 2.乾(ケン) 3.お茶でも一杯 4.霧津紀行 5.力士(力持ち) 6.夜行 7.妹を理解するために 8.彼と私 9.ソウル1964年冬 作品解説 年譜