著者 : 鈴木智之
講談社が運営する無料ケータイサッカーサイト「ゲキサカ」(http://gekisaka.jp)で累計300万ページビューをたたき出した青春サッカー小説が待望の書籍化! 高校・中学など強豪サッカー部取材を数多くこなす著者が、「読めばサッカーがうまくなる」をモットーに、練習の大切さ、うまくなるために必要な意識の持ち方、食事を含めた自己管理など、サッカーの上達に役立つ情報を小説のなかで表現した作品。 亡き父の陰と相対する高校生の主人公・米倉ケンタの成長物語を中心に、個性的なチームメイトと協力し、監督が提示する難題に立ち向かう部分や、緻密な試合描写も見所のひとつ。 <あらすじ> 元日本代表FWを父に持つ、U-16日本代表MFの米倉ケンタが進学先の竹駒学園で出会ったのは、「サッカーを教えない」をモットーとする名将・天童監督だった。 「うまいだけの選手はいらない」 選手自身に「考えさせる」指導のもと、ケンタを中心とした新入生たちは徐々に成長していく。高校に入学するまでのケンタは、点取り屋として活躍した父と比較されることを嫌い、ドリブルやパスを武器にチャンスメイカーとしてのスタイルを確立してきた。しかし、天童監督はケンタが父親の存在から逃げていることを見抜く。目標であるプロになるためには拒否し続けてきた父親のプレースタイル、「ゴールへの貪欲な姿勢」を取り入れることが必要であり、「うまいだけではプロになれない」と自覚したケンタは……。
村上春樹の主要作品のうち『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』を取り上げ、2つの物語に私たちが生きている現実世界の痕跡を読み取っていく。記憶・他者・身体というキーワードから、恐怖に満ちたこの世界を生き延びるスタイルを模索する。 物語をめぐる物語、としての小説 第1部 記憶・他者・身体ーー『ノルウェイの森』と自己物語の困難 序 章 自己物語の氾濫/困難 第1章 想起(の物語)の失敗 1 記憶のための物語/証言のための物語 2 共有された死者の記憶 3 物語の座礁と語りの再編成 4 第一の企図の放棄 5 物語の破綻と残された問い 第2章 身体/他者ーー自己物語とそのさまざまな困難 1 自己物語の困難 2 他者とともにあることの困難ーー「永沢」と「ハツミ」 3 身体を生きることの困難ーー「レイコ」 4 重要な共演者の死 第3章 「直子」--沈黙する身体 1 病いの語り 2 行き違う物語 3 「再入場への恐れ」と「待望者」の誤謬 4 神話化する身体/夢想化する記憶 5 証言の失敗 第4章 「緑」--語り続ける身体 1 語り手としての「緑」 2 物語を受け取ることの困難 3 作り話、あるいは嘘つきの戦略 4 境界画定のゲーム 5 コンティンジェント・セルフ 終 章 忘却の忘却としての物語 1 生存の論理/死者の物語 2 忘却としての語り直し 3 ループする語り 4 浮上し続けるものとの闘い 第2部 災厄の痕跡ーー日常性をめぐる問いとしての『ねじまき鳥クロニクル』 序 章 日常性への問い 第1章 他者の同一性=正体をめぐる物語 1 他者の徴候ーー「泥棒かささぎ編」 2 横滑りする問いーー「予言する鳥編」 3 他者に物語(名)を与える物語ーー「鳥刺し男編」 4 他者性の寓意としての「電話の女」 5 他者の行方 第2章 偶発的身体 1 身体が呼び起こす物語 2 身体とその二つの状態 3 身体をめぐる権力とその二つの顔 4 変身 5 闘争の二つの文法 6 身体・権力・日常性 第3章 飽和する記憶 1 戦後の物語/戦時の記憶 2 挿入される戦場の記憶 3 戦時の記憶とその両義性 4 無の贈与/記憶の贈与 5 開かれた物語/飽和する記憶 6 時を損なう者/時を繕う者 7 可能なる起源 8 〈起源〉への降下 9 記憶/時間/生命 10 災厄の記憶と再生への賭け 終 章 恐怖の持続 そして、物語は続く あとがき