著者 : 鈴木英治
寛永寺御上覧試合に東海代表として出場が決まったものの、未だ負傷した右腕が癒えない湯瀬直之進は、稽古もままならず、もどかしい日々を送っていた。続々と各地の代表が決まる中、信州松本で行われた信越予選では、老中首座内藤紀伊守の家臣室谷半兵衛が勝ち名乗りを上げる。だが、江戸では内藤家に仕える中間の首なし死体が発見され、内藤紀伊守の行列を襲う一団が現れた。不穏な気配が漂う中、遂に御上覧試合当日を迎える!人気書き下ろしシリーズ第三十七弾。
浪人が殺され、二百両はするという名刀が奪われた。同心の河上惣三郎は、刀剣道楽の数寄者の線を洗い始める。一方、重兵衛の頭の中は、ある男のことで一杯だった。親友と弟の仇・遠藤恒之助。妖剣を使うこの強敵を倒すため、新たな師のもとで“人斬りの剣”の稽古に励む重兵衛だったが…。男たちの友情に胸が熱くなる、人気シリーズ第四弾。
将軍家の肝煎りで、日の本一の剣客を決める御上覧試合の開催が決まった。主君真興の推挙を受け、湯瀬直之進は予選が行われる駿州沼里の地を踏んだが、城下を押し込みの一団が跳梁していた。その探索に乗り出そうとした矢先、直之進の前に尾張柳生の遣い手が現れる。果たして直之進は故郷に平穏を取り戻し、上野寛永寺で行われる本戦出場を果たせるのか!?人気書き下ろしシリーズ第三十六弾。
旅姿の侍が内藤新宿で殺された。北町奉行所同心・河上惣三郎が探索を進めると、重兵衛の住む白金村へ向かう途中だったらしい。一方、堀井道場の師範代である左馬助は、訪ねてきた若侍の腕前に瞠目していた。その天才の名は、松山輔之進。兄の仇を討つために江戸へ出て来たというー。因縁に結ばれし男たちが江戸を奔る、人気シリーズ第三弾。
手習子のお美代が消えた。楽しみにしていた秋祭りを前に自ら姿を隠すはずはないと考えた重兵衛が捜し始めると…(「梵鐘」)。人捜しを生業とする紋兵衛、北町奉行所の同心・河上惣三郎、元目付で腕利きの浪人・鳴瀬左馬助、そして主人公である手習師匠の重兵衛ーそれぞれの視点で趣向を凝らした四篇の連作が織りなす、人気シリーズ第二弾。
これはうつつのことなのかー。目付・川名佐吉のいる備中高松城は、秀吉による兵糧攻めの一環として、周囲を水で囲まれ、陸の孤島と化していた。そんな中、城中で老臣の暗殺が起きる。早速、佐吉は犯人探しを始めるが、飢えと日を追うごとに増す水位、非協力的な家臣たちが邪魔をし、調べは遅々として進まない。さらに、何者かの凶刃が佐吉の命を狙い…。密室の城で一体何が?!
真田信繁が最後に頼り、徳川家康をおびやかした男が目指したものとはー。天下分け目の関ヶ原では宇喜多秀家の右腕として戦い、大坂の陣ではキリシタン部隊を率いて縦横無尽の活躍をした武将・明石掃部。宇喜多家を裏切った坂崎出羽守との因縁、そして千姫に託した思い…。大坂の陣後、姿を消した謎多き男の熱き生涯を、時代小説で人気の著者がドラマチックに描いた長編歴史小説。文庫書き下ろし。
因縁の敵手、久世家剣術指南役・横山佐十郎から音無黙兵衛に届いた果たし状。修行を経て他を寄せ付けぬ強さを身につけた男との闘いを前にして、伊之助は黙兵衛の身を案じる。そんな伊之助に黙兵衛は己の出自、なぜ今まで「無言」だったのかを旧知の人間を介して知らせるが…。己の生きる意味を切先に託した者同士の一戦。紙一重の攻防が始まる!大人気「無言殺剣」シリーズ第六弾。
義賊気取りで泥棒稼業から抜け切れない夏兵衛は、僧侶失踪事件をきっかけに探索の道に目覚めた。晩秋の冷たい風が吹く夜、惚れた女・郁江が訪ねてきた。弟が、かどわかされたというのだ!郁江には、姉夫婦を殺し、家伝の鉄砲を盗んで逃げた仇がいた。犯人は奴だと睨んだ夏兵衛は、必死の捜索の末、向島のある屋敷へと辿り着く。だが、そこで出くわしたのは、意外な人物だったー。迫りくる難事件に夏兵衛が挑む!
音無黙兵衛は初美を護るために中山道を往く。しかし敵に囲まれてしまい、僧兵と共に籠城戦を決意した。復讐の火を灯す横山佐十郎、伊賀者の忍ら難敵が次々と黙兵衛に襲いかかる!謎に包まれた初美の過去が明らかとなる中、それでも黙兵衛は初美を護りきることができるのか。因縁の相手・横山佐十郎との対決の刻、迫るー。大人気「無言殺剣」シリーズ第五弾!
徒目付の山平伊太夫にかどわかされた南町定廻り同心樺山富士太郎を救い出したものの、下手人の伊太夫を取り逃がしてしまった湯瀬直之進。そんな直之進の前に、名刀の贋作売買を生業とする鎌幸が現れ、用心棒仕事を依頼してきた。名刀“三人田”を所有する鎌幸を付け狙う者の正体とは!?富士太郎かどわかし事件の真相が遂に明かされる!人気書き下ろしシリーズ第三十二弾。
「実兄を見殺しにした男」と周囲から疎まれている武田の家臣・智之介。ある日、幼馴染みが殺害され、その嫌疑が智之介にかけられる。汚名をそそぐ為、そしてある罪の意識から一人調べを進めるうちに、負け知らずの武田家を揺るがす密約に辿りつく。接見することなく、一通の手紙で繋がった一介の武士と信長。誰も知らなかった長篠の戦いが今幕を開ける。
文武両道の学問所設立を目指す佐賀大左衛門は、剣術指南方の師範代として湯瀬直之進と倉田佐之助の二人を迎え入れようとしていた。そんな折り、大左衛門の屋敷を旗本岩清水家の用人が訪い、若年寄遠藤信濃守に進呈するに相応しい刀の鑑定を依頼してきた。だがこの刀選びが元で、大左衛門の身にとんでもない災難が降りかかる。人気書き下ろしシリーズ第三十弾。
念願の仇討ちを果たし、無事江戸の地を踏んだ俊介一行は、周防三田尻湊から船で先に帰らせたおきみの家へ立ち寄ることに。が、母のおはまは、「戻っておりません」と言う。愕然とした俊介は、供につけた伝兵衛の身を確かめるため、急ぎ屋敷へと走るが、いまだ姿を見せておらず…。誰かの企みか、それとも海難か?病に臥す父幸貫の容態は?相惚れの良美との祝言を阻む困難はいかに?
川から引き上げられた錠前師八十吉の指無し死体。その下手人を追う定廻り同心樺山富士太郎は、錠前屋の高久屋岡右衛門に目星をつけるが、なかなかその証拠を掴めずにいた。一方、そんな窮状を見かねた湯瀬直之進は、探索の手助けを始めた矢先、かつて掏摸に遭ったところを助けた薬種問屋古笹屋民之助と再会、用心棒仕事を頼まれるが…。人気書き下ろし長編時代小説、シリーズ第二十九弾。
大坂に到着した俊介らが真っ先に向かったのは、名医が営む診療所。原因の分からぬ頭痛で難儀する仁八郎が、ひとり一行を離れ、世話になっているはず。しかし、置き手紙を残したまま、彦根へ発ってしまったと医者は言う。仁八郎の身に一体なにが起こったか?急ぎ後を追う一行を巻き込む、恐るべき陰謀とは?さらに宿敵似鳥幹之丞の魔剣までもが俊介を襲うのか?若殿、危機一髪!傑作廻国活劇第八巻。
団子屋の看板娘・おひのがかどわかされた。夫である桶屋の波津彦とともに姿を消してから十日。七緒は二人の探索を引き受ける。一方、北町奉行所同心・和倉信兵衛は、両目がくり抜かれた死体と対峙していた。かつての繁盛が嘘のように閑古鳥の鳴く団子屋。おひのの明るい呼び声は戻ってくるのか。文庫書き下ろし。シリーズ第二弾!
湯瀬直之進を用心棒に雇おうとしていた呉服商の船越屋岐助が殺され、殺害現場から手代の与野造が姿を消した。葬儀のあと、岐助の女房と娘に請われた直之進は与野造の行方を追いはじめる。一方、南町奉行所同心樺山富士太郎と中間の珠吉は、町医者殺しを探索していたが…。直之進は次々と起こる殺しの連鎖を食い止められるのか!?人気書き下ろし長編時代小説第二十七弾。
ある朝、文之介の屋敷の前に置かれていたのは、篭に一杯詰まったかぼちゃだったー誰がなぜ?興味津々のお春が調べ始めたその頃、文之介は勇七とともに、首を吊ったと見える男の探索に入っていた。枝が折れて落ちたためか、生垣を境にして下半身が神社に残り、上半身が町地に飛び出しているという、不思議な死に方だった。他方、丈右衛門は蕎麦屋の息子から、ある依頼を受けて…。