著者 : 関麻衣子
その輝きを僕は知らないその輝きを僕は知らない
ある輝かしい夏の日。生物化学の研究をする大学院生のウォレスが夏のすべてを費やした線虫の培地に、カビが生えていた。ウォレスはただ、笑った。数週間前に父が死んだ。心配してくれる友人たちをよそに、ウォレスはこれっぽっちも悲しみを感じなかった。感情と向き合うことを避けていた中、同級生の同性の友人と一夜を共に過ごした。ウォレスの中に眠っていた過去のトラウマ、温もりへの渇望が目を覚ましたー。ニューヨーク・タイムズ紙ほか、欧米の各紙誌で年間ベストブックに選出。デビュー作にしてブッカー賞最終候補作となった注目の一冊。
白が5なら、黒は3白が5なら、黒は3
1995年、ピッツバーグ。O・J・シンプソン事件の裁判の行方が全米で注目され、人種間の緊張が高まるなか、青年ボビーは秘密を抱えていた。それは、白人として生きる彼に黒人の血が流れていること。その彼の前に、白人至上主義者に変わり果てた旧友アーロンが現れ、ある黒人青年に対し傷害事件を起こす。期せずして旧友の逃走に手を貸してしまったボビーは捜査に怯え、さらには出自をアーロンに悟られまいと苦悶する。そんなとき、黒人である死んだはずの父親が姿を現しー。人種問題の核に迫るクライム・ノヴェル。
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