著者 : 霧島兵庫
120年前、誕生して間もない日本を襲った未曾有の危機。それは、現代でも起こりえる明日の物語。明治33(1900)年5月。柴五郎陸軍中佐は、公使館付駐在武官として北京に赴任した。おりしも清国では、後に「義和団の乱」と呼ばれる攘夷運動が激化。北京市内の外国公使館地区でも皆、警戒を強めていた。しかし自国民保護を目的に列強各国が武力介入に踏み切ると、清の権力者・西太后はこれに抗すべく宣戦を布告して公使館地区へ攻撃を開始。日本を含む各公使館の人々は救援到着まで団結しての籠城を決意するが、500人足らずの寄せ集めの籠城連合軍に対し、敵は数万…。はたして、津波の如き勢いで迫る敵軍を防ぐことは可能なのか?そして、救援が来るその日まで生き延びることはできるのだろうか?ここに55日に及ぶ、地獄の籠城戦が始まった!!
ナポレオンの猛威も去った1818年ベルリン。プロイセン陸軍クラウゼヴィッツ少将は、士官学校校長に任ぜられたのを機に「戦争の正体」を明らかにする論文の構想を練っていた。貴族出身の聡明な妻マリーに戦争の実体験と教訓を語るうち、彼の目に見えてきたものとは?名著誕生の裏側を描く全く新しい歴史小説。ナポレオン戦争6つの戦場から『戦争論』への思考を辿る大型戦記。
その赤備え軍団は「戦国の伝説」となったー。十四歳の初陣で功を上げられず、父の介錯を務め首を切った山県昌満。心に深手を負い、若き頭領の重圧がのしかかる。だが馬鉄砲の腕を磨き、臣下の窮地を救った昌満は、赤備えの大将として復活。家康と、腹心井伊万千代を震え上らせる戦いを挑んでいく。権謀術数が渦巻く乱世で、最強の赤鬼たちは、いかなる光芒を放ったのか。鮮烈無比の傑作。
うつけと蔑む兄・織田信長に、英邁な弟・信行は覇者の資質を見た。それは兵法書と龍笛を好み、常識の範疇に生きる信行には持ちえないもの。すなわち自らの力を恃んで天下を統一しようとする炎の如き意志ー。しかし、そこに潜むひと筋の弱さを見出した時、己の熾火をかきたてるように、信行は身命を賭した大勝負に出る。