著者 : 青木久恵
イタリア貴族の当主ドメニコは姪に信じがたい言葉をかけた。「私の子を産んでほしい」と。時は流れ、産まれた子は、実業家として財を増やそうとする。だがその矢先、一族の人間が誘拐され、さらに前当主のドメニコの白骨死体が地中から発見された。調査を始めた人類学教授ギデオンは、骨に隠された一族の数々の秘密を知ることになるが…円熟味を増したスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの推理が冴える本格ミステリ。
19世紀なかば、フランスの田舎町ルルドの娘ベルナデットの前に、聖母マリアが姿を現わした。その場所からは泉がわき、水浴をした者たちの病いが癒えるという事態が続発。こうしてルルドは、宗教界・科学界ともに認める「奇蹟の地」となり、ベルナデットは聖人に列せられたーそして、現代。ベルナデットが遺した日記が発見された。そこには、驚くべき記述があった。聖母マリアが、もう一度この地に姿を現わすと言い残していたのだ。しかも、その期限は、まさにいま、この時なのだ。
「聖母マリアがルルドにふたたび現われる」教皇庁の発表は、世界に大きな衝撃をもたらした。かくて、各国から多様な人びとがルルドへ集まってくる。病いを克服しようとひたすら願う女性。奇蹟のために手術を放棄した男と、それを止めようとする婚約者。権力の座を目前に死を宣告され、奇蹟にすがる政治家。記者生命をかけてルルドの嘘を暴こうとする特派員。そして、大義のために聖地破壊をもくろむ革命家…超ベストセラー作家が壮大な構想で贈る『イエスの古文書』と並ぶ歴史サスペンス大作。
レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に不慮の死を遂げた。数日後、館の地下室から、第二次大戦中のものと思われる人骨の一部が発見される。フランスを訪問中だった人類学教授ギデオン・オリヴァーは、警察に依頼され人骨を調べ始めるが、今度は親族の一人が毒殺された!骨を手がかりに謎を解く、スケルトン探偵オリヴァーの名推理。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!新訳でおくる初期の意欲作。
2021年、世界中でなぜか子供が生まれなくなり四半世紀が過ぎた。絶望と無気力が蔓延するなか、イギリスでは国守ザンが絶対権力を握っていた。ザンのいとこで大学教授のセオは、反体制組織の女性と恋に落ち、組織のメンバーからザンの執政の恐ろしい裏側を知らされる。やがて組織がザンに目をつけられ、その女性が助けを求めてきた時、セオは思わぬ逃亡生活の渦中へ…ミステリ界の頂点に立つ著者が新境地を拓いた話題作。
ある秋の晩、ロンドンのスティーン診療所の地下室で、事務長のボーラムの死体が発見された。彼女は心臓をノミで一突きされ、木彫りの人形を胸に乗せて横たわっていた。ダルグリッシュ警視が調べると、死亡推定時に、建物に出入りした者はなく、容疑者は内部の者に限定された。尋問の結果、ダルグリッシュはある人物の犯行と確信するが、事件は意外な展開を…現代ミステリ界の頂点に立つ著者の初期の意欲作。
家族の絆に亀裂を入れたあの女が憎い…顔に醜いあざがあるためドリーは人づきあいを嫌い、母亡き後、父と弟の世話に喜びを見出してきた。が、父親が再婚し、すべてが変わってしまった。継母に罰を与えるため、彼女は弟と共に魔術で呪いをかける。直後、継母に恐ろしい災難がふりかかるが、やがてドリーにも無慈悲な運命の刃が。英国推理作家協会賞に五度輝く著者が、異常心理を極限まで追究した傑作サイコ・スリラー。
シャーロック・ホームズがこの世を去ってから二年後、ワトスンは彼の伝記を書くため、新聞に情報を募る広告を出した。その時から奇怪な事件が続発し、資料の一部も盗まれた。謎を解くべくワトスンは数々の資料を調べ始める。やがて明かされるホームズの美しい恋と、バイエルン国王ルートヴィヒ二世をめぐる陰謀。意外な結末が待ち受ける傑作パスティーシュ。
2021年、全世界でなぜか子供が生まれなくなって四半世紀が過ぎた。出生率が低下していっても、自分の子供はおろか、文明を受け継ぐ人類の子孫さえ得られなくなるとは、当初は誰も予想だにしていなかった。だがいまや、どんなに素晴らしい文化遺産を残そうと、数十年後にはそれを見る人間は一人としていなくなるのだ…。それが明らかになったとき、社会はどうなるか?絶望と無気力が、世界中を覆った。イギリスでは国守ザンが絶対的な権力を握り、できるだけ最後まで国民の生活水準を維持すると約束していたが、老人の自殺があいつぎ、出産を夢見る女性は想像妊娠をした。ザンのいとこで大学教授のセオは、ある日ジュリアンという若い女性と知りあい、惹かれるものを覚えた。だが、彼女は反体制組織のリーダーの妻だった。組織のメンバーから、セオはザンの執政の恐ろしい裏側を知らされる。組織がザンに目をつけられ、ジュリアンが助けを求めてきたとき、セオは思いがけない逃亡生活に巻き込まれていった。イギリスのミステリ界の実力派が新境地を拓いた、話題の近未来サスペンス。
えっ!わたしが大学の講師に?ミステリに関する豊富な知識を買われ、アニーは大学で講座を持たないかと誘われた。ちょっぴり不安はあったが、夫のマックスに励まされ、申し出を受けることに。が、大学でアニーを待っていたのは、学部内スキャンダルのからんだ殺人事件だった…。マカヴィティ賞最優秀長篇賞に輝く、謎解きミステリの人気シリーズ第三弾。
楽しいはずの新婚旅行がだいなしだった。新妻のジュリーとイギリスの片田舎を訪れたギデオン・オリヴァー教授は、またもや事件に巻きこまれてしまったのだ。見学先の博物館からは貴重な古代人の骨が盗まれ、つづいて旧友が発掘中の遺跡で殺人が…。アメリカの名高きスケルトン探偵ギデオンが「正統的英国の殺人」の謎に挑戦する推理と冒険のシリーズ第四弾。
ミステリ専門書店を経営するアニーは、地元劇団のリハーサル中に起きた本物の殺人事件に巻き込まれてしまった。しかも第一の容疑者は愛しい恋人のマックス。アニーはミステリから得た知識を頼りに、事件の謎に挑戦するが…。ミステリを心から愛するコージー派の著者が贈る、本格推理の新シリーズ第1弾。アンソニー賞、アガサ賞ダブル受賞に輝く話題作。
ワシントン州の国立公園の大森林で人骨の一部が発見された。ギデオン・オリヴァー教授の鑑定から骨は6年前に殺された男のものと判明する。が、なんと殺人の凶器は一万年前に絶滅したはずの種族が使っていた槍だった。伝説の猿人が本当に森の奥深くを徘徊しているのか…?一片の骨から縦横無尽の推理を繰り出すスケルトン探偵が真骨頂を示す初期代表作。
少女は必死に走った。最終バスに乗り遅れると、門限に間に合わない。だが、バスは無情にも目の前を走り去っていく。翌朝、少女は死体となって発見された。ノーフォークの連続絞殺魔“ホイッスラー”の4番目の犠牲者だった…。ダルグリッシュ警視長は、亡くなった叔母の遺産を整理するため、休暇をとってノーフォークの海ぞいの寒村を訪れた。青い海を背景に、午後の光を受けて金色に輝く松林や修道院廃墟。そしてその向こうには、ラークソーケン原子力発電所の巨大な灰色の建物が、岬を睥睨するように聳え立っている。この平和な光景に、“ホイッスラー”の影などどこにも感じられない。だが、それはたんなる幻想にすぎず、死の脅威がこの岬にも襲いかかろうとしていることを、ダルグリッシュは知る由もなかった。現代本格ミステリの頂点に立つ著者が人間の心に巣くう策謀と欲望を重厚な筆致で描きあげた話題の本格巨編。
マヤ遺跡発掘に協力するため、ギデオンはメキシコへ飛んだ。遺跡から人骨が見つかり、人類学者の彼が鑑定を依頼されたのだった。だが仕事は鑑定だけではすまなかった。骨と同時に発見された古文書に記された呪いが隊員たちを襲いはじめ、ついに殺人へと発展したのだ!ジャングルの呪われた遺跡でスケルトン探偵が推理の冴えを見せる本格の香り高き最新作。