著者 : 青柳悦子
ドイツ人の村ドイツ人の村
前途有望な兄ラシェルの突然の自殺に見舞われた弟のマルリクは、遺品として兄の日記を手渡される。日記をめくるごとに明らかになっていく兄の心境と自殺の動機、そしてナチスに加担した過去をもつ父親の存在…。人がもつ孤独の闇と、それでもなお人を信頼する希望の光を、シラー兄弟の日記を通して重層的に物語る傑作長編。
青の魔法青の魔法
大学の薬学部を卒業し、自立を目指す「私」。社会学者として仕事に生きてきたはずの母タシャレジが最近やたらと結婚のプレッシャーをかけてくるけれど、交際中のノズリとの溝は深まるばかり。薬局開業の夢もだんだんと遠のいて…。一方。スクリノの村から上京したヤルフェルは、せっかく入った大学でドロップアウトの危機に直面。秘密の話し相手だった「女王様」も失い、起死回生、密航を企てる。現代チュニジア社会の見取り図とそこにある多様性を浮かびあがらせると同時に、国や文化でも変わることのない若者の希望や葛藤を描く。
見えない流れ見えない流れ
チュニジアの首都チュニス。穏やかな兄ヤーシーンと、怒りんぼの妹アーイダ。それぞれの日々と、アーイダの恋を軸として描かれる現代の、そして古き良き時代の、人びとの生活や街の風景…。「幸せのかたち」が静かに、鮮やかに浮かび上がる。
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