著者 : 青谷真未
善治は幼い頃に両親を失い、優しい伯母夫婦に引き取られるがどこか遠慮がちに生きてきた。自分が来たせいで、従兄の大我は高校卒業後すぐ犬の訓練所に就職したのでは?やがて善治が大学生になると、“落伍犬”の元警察犬のシェパード、アレックスがやってきた。任務の時に足を痛め、引退したという。引き渡し先が決まるまで大我が伯母に預けたのだがーなぜか自分が世話をするはめに。犬嫌いの善治が仕方なく散歩に行くと、リードを引っ張られ、振り回される。アレックスは足が悪いはずなのになぜ普通に歩ける?そこには哀しい理由が…善治はアレックスと一緒に他の飼い主に出逢い、犬への理解を深めてゆく。離れ離れになったフレンチブルドッグと少年の絆、障害物競技に挑むチワワと少女の苦闘。やがて善治はアレックスのおかげで、自身が抱え込んだ過去を乗り越える。
私は貴方の許嫁ですー母を亡くしたばかりの綾乃のもとに届いた一通の手紙。部屋の退去勧告を受け進退窮まっていた綾乃は、迷わず差出人・冬晟の元へ向かう。予想より若く、柔和な若隠居といった風情の冬晟は、村の揉め事を調停する大事な役割を担っていた。許嫁らしい決め事もなく、家事を引き受け慎ましく暮らす綾乃だが、調停を手伝い村人たちと関わることで、結婚の約束には深い理由があると知ることに…。
どこかなつかしく、不思議な雰囲気が漂う「明日町こんぺいとう商店街」。架空の町の商店街を舞台に、7人の人気作家が7軒のお店の物語を紡ぐ、ちょっと変わったアンソロジー。ほっこりおいしい物語が揃った人気シリーズの第3弾がついに登場!
ある女子校で起こる“不思議で残酷な出来事”を描く3つの連作短編集。「この学校には魔女が棲んでいて、どんな願いごとも一つだけ叶えてくれる」という噂。絵空事と思っていた生徒の前に、ある日魔女を名乗る女性が現れて…。第2回ポプラ社小説新人賞・特別賞受賞作。