著者 : 風森さわ
切岸まで切岸まで
四年前の夏、遙子は夫の裏切りを知った。遙子より五歳年下の女性を愛しているというのだった。問いつめても跪いても夫の心は戻らない。五十歳を過ぎて、夫を失う痛みには耐えられそうもなかった。高校に通う一人息子は口数を減らして遙子を拒み、八十歳を超えた母に心配をかけるわけにもいかない。行き場のない遙子の心は徐々に無力になっていく。文の京文芸賞最優秀賞受賞作。
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四年前の夏、遙子は夫の裏切りを知った。遙子より五歳年下の女性を愛しているというのだった。問いつめても跪いても夫の心は戻らない。五十歳を過ぎて、夫を失う痛みには耐えられそうもなかった。高校に通う一人息子は口数を減らして遙子を拒み、八十歳を超えた母に心配をかけるわけにもいかない。行き場のない遙子の心は徐々に無力になっていく。文の京文芸賞最優秀賞受賞作。