著者 : 飛浩隆
結婚記念日に夫から贈られた植木は、「贈り主様にそっくりな『花』」をつける不思議な木ー「未の木」。少年は、言葉の力で世界を紡ぐことができたー「ジュヴナイル」。四十年前、現政権が発足した日に大災害が生じたあの地へと、私は帰ってきた、なぜ?-「流下の日」。山腹に生じた緋色の世界に迷いこんだ末にー「緋愁」。“うみの指”に襲われる世界と、私の世界ー「鎭子」。“しお”に覆われゆく風景、“しお”に病みゆく身体、“しお”と共存する人々、ささやかな日常から織りなされる歴史ー「鹽津城」。日本SF大賞2冠作家・飛浩隆、8年ぶり待望の作品集。
書き下ろしアンソロジーシリーズ《Genesis》が『紙魚の手帖』に合流して2年目。今年も夏のSF特集をお届けします。■新連載・彩瀬まる。■赤野工作、阿部登龍、斧田小夜、飛浩隆、松崎有理、宮澤伊織、レイチェル・K・ジョーンズらの豪華執筆陣による読切短編。■第15回創元SF短編賞選評および、受賞作・稲田一声「喪われた感情のしずく」掲載。■翻訳家・古沢嘉通による2023年ヒューゴー賞騒動解説記事。■創元SF文庫の成り立ちを語った代島正樹×小浜徹也(東京創元社編集部)対談など。 【受賞作決定!】 第15回創元SF短編賞 選評 飛浩隆・宮澤伊織・小浜徹也(東京創元社編集部) 【第15回創元SF短編賞受賞作】 喪われた感情のしずく 稲田一声 ●人工感情調合のカリスマ、セクワ・ジュン。天才が世に問うた新作には、驚くべき秘密が隠されていた。第15回創元SF短編賞受賞作 【新連載】 道の花 彩瀬まる ●傷口からは、小さな双葉がのぞいていた 【小説】 これを呪いと呼ぶのなら 赤野工作 ●遊ぶと呪われると噂のゲームがある 狼を装う 阿部登龍 ●創元SF短編賞受賞後第一作 ほいち 斧田小夜 ●意識を持った自動車と謎の”声”の話 WET GALA 飛浩隆 ●2024年から60年にわたるロボット未来史 アルカディアまで何マイル 松崎有理 ●少年はガチョウ兵と楽園を目指す ときときチャンネル#8 【ない天気作ってみた】 宮澤伊織 ●動画配信者SFシリーズ 子どもたちの叫ぶ声 レイチェル・K・ジョーンズ 佐田千織訳 ●その日、教室に銃声が響いた ※西條奈加「お蔦さんの神楽坂日記」、坂木司「きみのかたち」、新野剛志「粒と棘」、堂場瞬一「フルハウス」、貫井徳郎「不等辺五角形」は休載です ※熊倉献 コミックは休載です 【創立70周年記念企画】 エッセイ 「わたしと東京創元社」 大森望/高山羽根子/田中芳樹/酉島伝法/宮内悠介/マーサ・ウェルズ 【対談】 創元SF文庫になった頃 代島正樹 小浜徹也 【解説記事】 人間的な、あまりに人間的な 二〇二三年ヒューゴー賞騒動 古沢嘉通 【ESSAY】 翻訳のはなし第16回 ホーガン翻訳裏話 古沢嘉通 ※山崎佳代子「私の小さな地図帖」、若島正「乱視読者の読んだり見たり」、北原尚彦「ホームズ書録」、リレー連載「装幀の森」は休載です 【COLUMN】 ごほうびごはん*メキシカン・チキンのワカモーレ添え 久永実木彦 行かない旅の栞*十年経っても見つからない 新馬場新 読書日記 篠原悠希 【SF BOOKREVIEW】 国内SF 渡邊利道 翻訳SF 鯨井久志 【特別企画】 第24回本格ミステリ大賞贈呈式レポート 【INTERVIEW 期待の新人】 宮西建礼 篠谷巧 【INTERVIEW 注目の新刊】 『ムーンシャイン』円城塔 『ホロニック:ガール』高島雄哉 【BOOKREVIEW】 文芸全般 瀧井朝世 国内ミステリ 宇田川拓也 翻訳ミステリ 村上貴史 ファンタジイ 三村美衣
天才詩人アリス・ウォンが謎の存在“忌字禍”に倒れた。その怪物を滅ぼすために、七十三人を言葉の力で殺害した稀代の殺人者が、いま召還されるー星雲賞を受賞した表題作、同賞受賞の「海の指」他、全七編。最先端の想像力、五感に触れる官能性、現代SFが生んだ最高峰作品集。第38回日本SF大賞受賞。
特種楽器技芸士のトロムボノクと相棒シェリュバンは惑星〈美縟〉に赴く。そこでは首都全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉の五百年越しの竣工を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。上演の夜、秘曲〈零號琴〉が暴露する美縟の真実とは?
日本SF大賞史上初!2度の大賞受賞。現代SF最高峰作家のデビュー作をはじめ、貴重な作品を集成した、ファン待望の宝石箱。蓋を開けば響きあう、物語と批評の音色。幻の封印作品、ついに解禁。
宮部みゆき「星に願いを」-ありふれた日々を稲妻のように切り裂く、思いがけない出来事とは?飛浩隆「海の指」-SFの枠でしか描けないグロテスクで魅惑的なヴィジョン。木城ゆきと「霧界」-「海の指」が描くヴィジョンから、新たに魅惑的な光景を幻視する。宮内悠介「アニマとエーファ」-人間ならぬ存在はいったいどんな物語を紡ぐのか?円城塔「リアルタイムラジオ」-ワールドの外にはリアルタイムが存在し、そこからラジオが流れてくる…。神林長平「あなたがわからない」-“空気が読める”“他人の心がわかる”とはどういうことなのか。長谷敏司「震える犬」-類人猿を通して、人類自身の姿が浮き彫りになる。常識を震わせる、七つの風景。
人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があったー“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く「魔述師」など全5篇を収録。『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。
人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった-“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く書き下ろし「魔述師」、“夏の区界”を蹂躙したランゴーニの誕生篇「蜘蛛の王」など全5篇を収録。“数値海岸”開設から長篇『グラン・ヴァカンス』に至る数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する“廃園の天使”シリーズ待望の第2章。
ネットワークのどこかに存在する、仮想リゾート“数値海岸”の一区画“夏の区界”。南欧の港町を模したそこでは、人間の訪問が途絶えてから1000年ものあいだ、取り残されたAIたちが、同じ夏の一日をくりかえしていた。だが、「永遠に続く夏休み」は突如として終焉のときを迎える。謎のプログラム“蜘蛛”の大群が、街のすべてを無化しはじめたのである。こうして、わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦がはじまる-仮想と現実の闘争を描く『廃園の天使』3部作、衝撃の開幕篇。